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第六章 スリークッションゲーム
メイド号会談 其の一
しおりを挟む最初にガリレオ号が、カットするように突入します。
連続的に惑星間帆走宇宙船が、計算通りにぶつかります。
小惑星101429は、なんとか軌道を小惑星エウレカに向けたのです。
「執政官!小惑星101429が向きを変えました!」
「計算通りか!」
「計算通りです!」
安堵のため息が執政官府を包みます。
……さて次の手は、エーギルさん……
ミコさんがのんびりと、こんなことを呟いていた頃、土星の中心核に浮かぶ新造船に、シウテクトリさんとゼノビアさんが集まっていました。
それぞれの側近、一号機械の磐座(いわくら)ハル、トナ、タマルを引き連れています。
「愛の告白計画か……ルシファー様らしい、なんとも有難いことだな」
シウテクトリさんが呟いています。
「その有難いルシファー様の身に危険が迫っている、といっても、何かあるとは思えないが可能性は残る」
イザナミさんが言葉を引き継ぎます。
「そうだな、まったく有難いが困ったものだ……」
ゼノビアさんが同意しています。
「しかしどうするかだが……」
シウテクトリさんが、困惑した顔でいいました。
「我等のあるじのお考えだ、おもてだって事をおこすことは避けたい」
ゼノビアさんも困惑気味です。
「私の考えとしては、取りあえずはこの新造船に、戦力を即応態勢で待機させておくつもりだ」
イザナミさんがそのようにいいました。
「確かにまずはそれだな、当方から出しても良いが……」
「オルメカから出すと事が露見する、黄泉醜女(よもつしこめ)を呼び寄せる」
「それが妥当だな、いちおう新造船の検分との名分があるからな」
と、ゼノビアさんが賛成します。
「このソル星系のステーション群は、極秘に臨戦態勢を命じておこう、あとエールから移管された、内惑星簡易鉄道も臨戦態勢としよう」
と続けました。
「さてここからだが、ルシファー様の身辺警護をどうしたものか?」
「ナノマシンで警護されているから、万全とは思うが、お一人ではいかがなものか、やはり誰かお側に必要ではないか?」
ゼノビアさんがそのように言いますが、
「それではルシファー様が御困りになる……」
「まったく我儘な主をもつと苦労する」
「そこでだ、癪に障るが、ホモサピエンスの女達がお側に侍っているだろう、その女達を密かに監視しておく、我らでもそのぐらいなら出来る」
シウテクトリさん。
「監視なら私が行おう、シウテクトリは知っているだろうが、私もアルプ程度の力は持っている」
「ルシファー様のお側に侍る女達の身体に、分身の一つぐらいなら纏わせることも可能だ」
「では頼む、イザナミが動くことはないだろうが、これで安心した」
「実は私としては、オールトの雲あたりの微惑星に偽装して、小型戦闘艇を配置しようかと考えていた、しかしこれでは、ルシファー様に知られるので苦慮していたのだ」
「私はガリレオ衛星ステーションに、ソル星系の陸戦ロボットの定期保守の名目で、陸戦ロボットを集結させようかと考えていた」
これはゼノビアさんの言葉です。
「まぁ私に任せていただきたい、このルシファー様の『愛の告白』を頂いたのだから、まずは私に御恩を返させて欲しい」
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