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第五章 調査

ヨミの故郷、メイド号

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「ねえ、私の名前はルシファーというのよ、そして貴女の名前はニンリル、構わないわね」
「私はニンリル……新しい神はルシファー様……これで寂しくはない……ルシファー様、ニンリルはご命令をお待ちしています」

「ところでニンリル、古い神のことだけど、声が聞こえたのよね、どんな声だったの、私のような声だった?」

「すこし似ています、いつも静かな口調でした」

「そう……すこし記憶を覗いてもいい?」
「私はルシファー様の物です、どうぞ」

 ミコさんはニンリルをじっと見ています。
 そして、「ありがとうと」いいました。

「ミランダさん、ニンリルさんを頼みますね、アリシアさんに私がよくしてあげてと、言っていたと伝えてね」
「私はエールさんと、少し話が有りますのでね」

「エールさん、すこし付き合って下さいな」
「どこなりと、ルシファー様」
「とりあえず、タイタンステーションですけどね」
 二人はタイタンステーションの貴賓室に転移します。

 この貴賓室はスーパーハイゲートの出入り口……現在『佳人』からも通れるようにと、検討中です。
 豪華な調度品に囲まれた部屋、小さな寝室と小さなキッチンもついています。

「さて、少し早いけど、イザナミさんに御披露しましょうかね」
 独り言を言いながらミコさん、イザナミさんへ連絡を入れています。

「ねぇ、イザナミさん、私からの愛の告白、受け取ってくれない?」
 イザナミさん、驚いているようです。

「タイタンステーションの貴賓室でエールさんと一緒に出迎えるわ、貴女ならタイタンステーションまですぐでしょう?」
 本当にすぐに来たイザナミさん、色っぽい服装ですね。

「愛の告白ってお聞きしたので、急いできました」
 ぞくっとするような流し目です、ミリタリーの中ではヨミが一番の色っぽい種族、その中のトップですから、半端ではないお色気です。
 
「とりあえずヨミの故郷で、私の愛を告白しますわ」
「故郷?この間、うかがった?」
「そうですね、ではヨミの故地に行きましょう」

 ミコさんは二人とともに転移します、そう、土星の中心核にある内緒のステーション……

 ミコさんが内緒で、といってもかなりおおっぴらに土星の中心核に作っていたヨミの観光地。
 直径400キロ、小惑星のベスタ並みの大型ステーションを改良したもので、ヨミ号の小型といっていいものです。

 小さいながら五層構造になっています。
 第三層より下層は完成状態、居住区の第一層と第二層が未完成です。
 外殻は半透明で、土星の液体金属水素の熱を変換し、それで半永久に超高圧の土星中心核の攻撃に耐えられるようになっており、これはその昔のヨミ号そのものです、といっても全てが半分です。

 ただ防御兵器は満載ですが、攻撃兵器はあまりありません、一応ワープは出来ますが、宇宙は渡れません。
 第一層は温泉を作り込んでいます、ハンガリーのヘーヴィーズ湖をモチーフに、深さは背が立つ程度、可愛い駅舎も一応あります。
 ここまでは完成していますが、まだ建物は駅舎を除けば、コテージが幾つかあるだけですけどね。
 
 ほの暗い世界、夕暮れが支配する世界、紛れも無いその昔のヨミ号の世界です。

「どう?ヨミ種族の故郷は、少し小さいけどね、まあ第一層の大きさはフランス並みですからいいでしょう」
「第三層から下は完成しているわ、非常用の居住区は稼動できるわよ」

「ヨミはオルメカほど大人数ではないから、第三層の居住区でも全員のスペースがあるでしょう、でもここはアパートメント、一区画二間ですけど」

「そうそうここは私もコピーで大量に作ったので、酔っ払って歩くと迷うわよ、色彩計画で街区を分ければいいと思うわ」
「内装と第一層と第二層、これの計画を練って、まとまれば知らせてね、その通りに作ってあげるから」

 イザナミさん、うるうるしています。
「ルシファー様……大好き……」
 小娘のように喜んでくれました。

「後の計画は磐座(いわくら)姉妹に命じます、すぐに検分させます」
 というので、建造図面をイザナミさんに渡したミコさんです。

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