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第五章 調査
あなたはどこから生まれたの?
しおりを挟むさすがに驚いたミコさんです。
その言葉は男性体の訛りが有る、アスラ族の言葉でした。
「ネアンデルタール人は、言語を持っていないと思っていましたが……まさか、しゃべれるとは……」
「DNAは確かにネアンデルタール人の物なのですが……」
エールさんも困惑気味ですね。
「あなた、言葉はしゃべれるのですね、その言葉、教えてもらったの?」
「おっしゃることの意味が分かりません、最初からしゃべれましたが?」
「そうね……とにかく質問には答えましょう、私が新しい神になるかならぬかは、貴女次第でしょう」
「……私が貴女に従うならば、神になられるのですか?」
「従う?貴女の同胞を破壊した私に?」
「掘削マシンは全て私に連動していました、同胞はここにはいません」
「貴女一人?」
「私は一人、神が一人」
「神?」
「ときどきお声が響きます、そして私にお食事を下されます、私はいつも一人、神のご指示のままに過ごしてきました」
「いつからなの?」
「分かりません、過ぎた時は忘れるためのもの、神はそのようにおっしゃられていました」
困った顔をしているミコさんです、エールさんはさらに困っているようです。
「ミコ様、いかが致しますか?」
「参ったですね……どうしたものか……」
「新しい神は御困りなのですか?」
「貴女はどうされたいの?」
「ご指示を頂きたいのです、何をすればよいのかをお示しください、お声をかけてください、もう一人は嫌……なのです、お願いいたします、一人にしないでください……やっとお姿を見れたのです、もう、寂しいのは辛いのです」
『首』は泣きそうな顔で、ミコさんを見つめながら言いました。
「辛い……のですか……貴女は辛いと感じるのね……」
「寂しいのは嫌です……嫌なのです、どうか私の神に、見捨てないでください」
「古い神はどうするの?」
「あの方はこう云われました、もうすぐお前の使命も終わる、必要量は採掘したと……もう私は必要ない……いらないのよ」
「そうなの……貴女は誰かに必要とされたいのね」
「私を要りませんか?」
『首』は再び泣きそうな顔で、ミコさんを見つめながら云いましたが、その顔にはあきらめが漂い始めています。
ミコさんは『首』を見つめながら考えていました。
……作られたものは確かに人の首……生きている……どのような姿であろうと、命が宿っている……
語る言葉には感情がある、言葉に真実がある……まぎれもなく生物なのであろう……
寂しい、辛い、という感情は人ゆえであろう……しかし、よく見ればこの『首』のDNAは、少し操作されている
「私が神になれば、貴女はどうするの?」
「ご命令を心をこめて遂行いたします、私はそれしか出来ません、私の全てです」
「私が貴女の死を望めばどうしますか?」
「ご命令とあれば致し方ありません、遂行いたします」
ミコさん、ここでため息をつきました。
「代価は貴女の全てですか……」
?
「いえ、独り言です……私に仕えなさい、私が貴女の新しい神となりましょう、名前と身体を貴女に授けましょう」
「これから身体を作ってあげるから、すこし寝ていてね、掘削マシンの身体じゃないのよ、私のような身体、本来あるはずの、貴女の首から下の身体よ」
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