上 下
28 / 69
第四章 メインベルト小惑星帯

貨物鉄道軍事ステーション集結

しおりを挟む

 アリシアさんは、ある疑問が湧いてきた。
 そして口に出してみた。
「生体と云われますが、どこからその生体を手に入れるのです?」

「今のところ分かりません、生体そのものではなく、何処からかDNAを手に入れ、促成培養すれば似たようなものは可能です」
「塩基配列が分かっていれば、それも不要でしょうね」
「DNAですか……」

「高等知生体のものなら、何でもいいでしょう」
「いまのところ、このソル星系内でしょうから、出所はおのずとかぎられてくるでしょうが、少し手に入れれば、あとはコピーすればいいのです」

「コピーは劣化を起こしますが、オリジナルを確保していれば量産ができるでしょう」
「目眩のする話ですね」

 ここでアニーさんが、
「そのお話は後でも良いのでは……いまは敵をやっつける事が先では……」

「アリシア執政官、小官もそのように考えます、とにかくソル星系外惑星鉄道ステーション群に、警報を出しましょう」

 やっとそこにきずいたのね……まったく……

 ソル星系外惑星鉄道が戦時体制となり、ガリレオ衛星ステーションの市民は、念のために第三層に避難を命じられました。
 防御バリア展開装置が四基伸びあがり、ピラミッド型に防御バリアが張り巡らされます。

 とりあえず軍用ドックでは、コンテナが量産され始めます、今のところ二日に一隻ですがね。
 そして一隻目が完成した頃、待っていた偵察の報告が入ってきました。

「エウノミアにマシンが見受けられ、地下になにか空洞があるようです、質量が変化しています」
 レリンさんはすぐに反応します。

「すぐに艦隊をエウノミアに向かわせます、ちょうどコンテナが一隻出来たところですので、これに乗って艦隊に合流します」
「アリソン、同行をお願いします、ミランダとダリヤは残って防衛戦の準備を進めるように」

「レリン先任軍事参議官、コンテナには何人乗れるのですか?」
「三名ですが」
「では後一人乗れるのですね、私も行きます、アデラインさん、後は頼みますね」

 あら、まぁ……勇ましいこと、アリシアさんらしいわね……
 
 レリンさん、かなり反対していますが、アリシアさん、断固として譲りません。
 とうとう押し切って、コンテナに乗ってしまいました。

 メインベルトの外側に、貨物鉄道の軍事ステーションが三隻集結しています。
 アリシアさんたちの乗ったコンテナが、保線用緊急退避ステーションに接舷し、三人は乗り移ります。
 中には保守管理のロボットたちが、動き回っていました。
 レリンさんが、
「保守管理コンピューター、私はソル星系外惑星鉄道貨物路線を預かる、先任軍事参議官レリン、確認せよ」
「確認しました、ユニバースのソル星系外惑星鉄道貨物路線先任軍事参議官レリン様、ご命令を」

「戦闘コンピューターを起動、呼び出せ」
「当ステーションの戦闘コンピューターです」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

やり直し令嬢の備忘録

西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。 これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい…… 王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。 また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...