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第八章 予言プログラム

シギントの会合

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 カリさんとチュヌちゃんがやってきたのは、二日後でした。
 二人は素知らぬ顔で、お茶を飲みに来ています。

 かなり綺麗になっていました。
 肌の艶もよく、こざっぱりとした服を来ています。
 左の薬指には、それぞれのリングが輝いています。

 よく見るとかなりの美人姉妹さんです、というよりワールドクラスです……
 これはスケベの、美子姉様の毒牙にかかりますね……『格子』さんですか……

 茜姉様が、ホテルの空部屋を全部借りきりました。
「ではこれでお願いします」
 と、料金を支払っています。
 カリさんとチュヌちゃんは、しばらくこのホテルに滞在することになります。
 その後、美子姉様が国際電話をかけました。

「内調さん、吉川美子です、『明日』の話をしたいのですが?」
「私たちは今、ネパールです、ナムチェトレッキングホテルに滞在しています」

「それから……そう、私の計画は……異議はないでしょうね、この蓬莱は、失礼ながら私の物なのですから……60億の生命は私が握っている……」

「そう、ややこしい話は聞きたくありません、従うか滅亡か二つに一つ……」
「何故か?……私は貴方たちを使うことにしました、他の仲間が欧米などにいるでしょう、その仲間とともに至急ここへ来るように、でいつ来ます?」
「早いほうがいいでしょうね……明後日の夕刻……ではお待ちしています」

 茜姉様が、
「なんと言っていたの?」
「驚いていましたが、協力を示してくれました、なにせ生きるか死ぬかですからね」
「彼らを使うと、少々明日が醜くなりますよ」

「まぁ仕方ない、許容出来る範囲と考えます、ベストばかりでは、なるものもなりませんし、なにより早く世界が立ち直れる……死ぬ人がとても少なくなるでしょう?」

「そうですね、世界人口はあまり減らさないで乗りきれるのは確かですね、でも未来の色が、私には見えませんね」

 美子姉様が最後にこう言いました。
「私にもその色は想像できないの……でも姉さん……ベストでなくても、ベターではあると思っています」
「それに……思い入れのある、今の蓬莱を何とか維持したいの」

 その日の夕食は日本食でした。
「ここで日本食なんて……玉子丼ですか、エベレストを見ながら玉子丼なんてね……」
 美子姉様が感慨深そうに呟きました。

 そして二日後の夕刻、日本の内調、アメリカのNSA――国家安全保障局――、イギリスのGCHQ――政府通信本部、――フランスのDRM――軍事偵察局――の四つの情報機関の代表がやって来ました。

 美子姉様が、
「シギント――通信などを取り扱う情報活動のこと――絡みですね」
 と、言ったのが印象に残ったクリームヒルトでした。

「内調さん、この方々だけですね」
 と、美子姉様が念を押します。
「はい、他の組織は、情報の解析などが不備のようです」

「取り繕わなくてもいいですよ、信じられなかったのでしょう、分かりました、そして貴方たちはどうすると?」
「蓬莱を、私どもにお任せ願えないかと……」

 少し笑いながら美子姉様が、
「本当に真摯な本音ですね」
 美子姉様、どこまでも上から目線です。

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