百年紀のカレンダー１ 蓬莱グランドツァー 【ノーマル版】

第三章 お外にでれば

平凡な日々なの？

　五人はご飯を食べると、クリームヒルトの部屋へ集合、お姉さんぶりを発揮して、ヴァランティーヌの勉強を見ています。
　整数の四則計算ですね……
　１２３×１８０なんてのを教えています。

「ヴァランちゃん、算数嫌い？」と、クリームヒルトが聞くと、「大嫌い！」と即答されました。
「でもね、算数が出来ないと、美子姉様に可愛がってもらえないわよ」
「……だったら好きになる」
　あっさりと方針を変えたヴァランちゃんでした。

「おゃ、算数ですか……」
　と、後ろから声がしました。
「美子姉様！」
　と、五人は歓声をあげます。

　子犬が纏ついている状態です。
　近頃はマチちゃんもシズちゃんもミチちゃんも、妹の様に接してくれる美子姉様。
　聖ブリジッタ女子学園山陽校でも、三人は吉川姉妹のいとこぐらいの扱いになっています。

　お弁当も同じように作ってもらって、このごろはいつもの食堂のテーブルに、いつも姉様二人とお昼を一緒に食べています。
　給食のヴァランちゃんは不満みたいですが……

　でも茜姉様のお弁当はとてもアバウト、美味しいですが手抜きが激しいというか……この間、食パンにジャムとバターが塗ってあったのですが、耳がそのままでした。
　おかずにポテトチップが入っていたり、お弁当を開くと焼き飯だけが入っていたり……

　美子姉様は凝り性……多分料亭の板前さんが裸足で逃げるのでは、と思う時があります。
　いつの間にか美子姉様が、月・水、茜姉様が火・木、金曜日は学食となっています。

　まだ転校してきてから一月も経っていないのに、この景色がいつもの景色になっています。
　でもさすがに、姉様たちもクラスに馴染んだのか、時々知らないお姉さまたちが一緒の時があります。
　四人組の警戒警報が鳴り響いています。
　今日も最大級の警戒警報が……

「ねぇ、クリちゃん……ヤバイのでは……」
「シズちゃんもそう思う？」
「あの人、エキゾチックよ……美子姉様、ぐらつかないかしら……」
「美子姉様……よく女を拾ってくると、いわれているの……」
　こそこそ、ひそひそ……

　すこし苦笑いをしている美子姉様、それを面白そうに眺めている茜姉様……