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第三章 お外にでれば

五百円ショップとコン太

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 駅前ビルには、二つの店が新規開店しました、クリームヒルトたちは興味津々です。
 一つは五百円ショップ、百均と聞いていたのですが、インポートショップを兼ねての事だそうです。

 クリームヒルトたちは、この五百円ショップ内に入り浸っています。
「安い!このワンピース五百円よ!」
 ミチちゃんがはしゃいでいます。
「ミチちゃん、お小遣いがガス欠になるわよ!」

 四人組の小遣いは毎月五千円、采女の金貨2枚、年収300万、側女にいたっては金貨8枚、年収1200万円なのですが、自由に使えないのです。
 クリームヒルトの調査?によると、この五百円ショップはここだけにしかなく、世界中からアウトレットや、レッドストックをかき集めて、売っているようなのです。

 その為か、若い女の子で連日満員御礼の大繁盛、しかも店員さんは美しい女性ばかり、しかもかなりスタイルが良い……

 美子姉様に取り入るつもりなのね……そんな事、この私が許すものですか!
 クリームヒルトはドアの取手を握り締めて……
 バキッ……

「クリちゃん、取手が!」
「えっ!」
 クリームヒルトは怪力だったのです、多分、茜譲り?……

 店員さんが飛んできました。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫です、でもドアの取手が……すいません……」
 クリームヒルトの手の形に、潰れている取手……

 すこし恥ずかしいクリームヒルト、真っ赤になって逃げるように、出ていってしまいました。

 でも店員さんは動じませんでした、次の日いつもの様にクリームヒルトを迎えてくれます。
「美子姉様、あそこの店員さん達、とても優しいのよ!」

「そうなの……こんどお礼を言っときましょう」
 と、美子姉様は言ってくれました。

 今一つは『油揚げ専門店コン太』、基本はきつねうどんと二種のいなり寿司、関東風と関西風、そして衣笠丼……
 衣笠丼とは京都では定番ともいえる丼で、油揚げと青ネギを卵で甘辛くとじた物です。
 まずこの西日本ではお目にかからない丼でしょう……

 これが物凄く人気がでて……宇賀一族の中には料理人が二三名いたので動員したのです。

 なんせ美人店員ばかり……俄店員の森さんがてんてこ舞い……将来的にはお店を出してあげましょうと、美子姉様が言っていました。
 いつまでも一般女性をここにおいておくわけには、いかないのはクリームヒルトにもわかります。

 吉川姉妹は、よくこの『コン太』へご飯を食べにいきます。
 時々、宇賀さんが柳眉を逆立てて、店員をこき使っているのを見ることができます。

 女性によるヘルシー丼のお店が、コンセプトだそうです……だれもそんな事決めてはいないのですが、某お料理雑誌にかいてありました。

「あら、クリちゃん、ヴァランちゃんと二人?今日は美子様たち一緒じゃないの?」
 と、森さんが声をかけてきました。
 午後四時半過ぎた頃です、お店も静かな時です。

「姉様たちは今日遅いの、何でも高等部で合唱コンクールがあるとかで、練習しなくてはならないそうなの、もうすぐマチちゃん達も来るわ」

「クリちゃん!」
 仲良したちが走って来ました。
「衣笠丼でいい?」
 でもヴァランちゃんが、「おいなりさん!」といいます。
「私たちは衣笠丼がいい!」

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