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第二章 ラーニーの物語 スクール・ガール

閨のご奉仕は、大変な名誉なの

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「スマン様、どのみち、私は誰とも知れない方に嫁ぐ定め、夫に従い一生を終わるのですから、執政官府に献上され、閨の義務を果たす人生、たいして変わりはないかと思っております」
「とにかく、まだ見ぬ方ですが、その方に尽くし従います、マハーラージャー・ディラージャ・バハードゥルの娘として、恥ずかしくないように、日々を送りたいと考えております」

 さすがは一国の王女、覚悟は固めているようです。

「お仕えする方は『サムラート』と呼ばれることになりました」
「貴女は私と一緒に、『サムラート』にお仕えする女奴隷、『ジャーリア』となるわけです」
「『ジャーリア』には平民の女といえど資格があればなれます、奴隷出身でも可能なのです」
「マハーラージャー・ディラージャ・バハードゥルの娘といえど、『ジャーリア』の間では分け隔てはありません」
「ただ献上品以外の女が『ジャーリア』になるには、貴女が今から行くレディス・スクールを卒業するか、さらに上級のレディス・カレッジに入学試験に合格するしかないのよ」

「ジャーリアになれは、この地の女としては望外の出世といえるでしょう」

 スマン様はなにがいいたいのかしら……

「つまりね、レディス・スクールの生徒たちは『ジャーリア』である貴女たち、献上品にたいしての視線が厳しいということよ」

 なるほど……女同士の嫉妬に気負付けろということね……

「ご懸念は理解しましたが、私も王宮のハレムで過ごしていた身、その手の陰湿な嫌がらせには慣れております、大丈夫です」

「やはり勘違いしているわね、レディス・スクールに入学した以上、建前は『サムラート』のお仕えする女、貴女はネットワークという、私たちの所属組織の中で『清女』という位をいただいているけど、レディス・スクールの生徒である以上、ネットワークに所属していることになるのよ、たしかシルバーリングを小指に付けるはずよ」

「ネットワークに所属する女となった以上、何らかの装身具が支給されるのよ、そしてね、ネットワークでは、告げ口や足の引っ張りなどは嫌われるの、もしそんなことをしようとすると、不思議に頭の中に警告が響くわ」

「警告に従わなかったら?」

「その場で装身具が消え、退職することになるのよ、でもね、まず警告なんか響かないと思うわよ」
「どうしてですか?」

「『サムラート』がその行為を嫌われる、そしてネットワークに所属する条件として、そのような女は採用されない、どのように選抜するかわ聞かないでね、私も説明できないことなのでね」

「それからね、『ジャーリア』は厳しい階級世界でもあるのよ、『清女』である貴女は、それなりの敬意を受けるはずよ」

「スマン様の位をお聞きしてもよいですか?」
「私たち『テンプリンセス』は最低でも『格子』、『サムラート』に閨のご奉仕ができる寵妃の見習いというところかしら……」

「ラーニーは閨の義務といったけど、『ジャーリア』には必ずしも閨の義務はないのよ、卒業して『末女』になり、『清女』に進み、そこで一般と侍女に分かれるのよ」
「侍女コースを選び、累進して『格子』になれれば、寵妃見習いの名簿に載るのよ、そこで何回かお手がつき、初めて閨の義務、というより閨の権利を手にすることができる、チョーカーを授かるのよ」

「『サムラート』に閨でご奉仕できるというのは、大変な名誉なのよ、義務なんていったら、絶対に一般の『ジャーリア』に回されるわよ」

「では……」
「閨がしたくなければ、構わないわよ、そのことで差別なんてされないわよ、むしろ上層部からは喜ばれるでしょうね……でも女官長は激怒するかもしれないわね、なんとしてもアールヴヘイムンの地位を上げたいと願ってられるから……まあ、その辺はおいおい考えればいいのよ」

 スマンはこのようにいったが、ラーニーが言葉の意味を真に理解するのは、レディス・スクールに通学してからだった。
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