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第二章 ベネデッタの物語 魔法女学校
誰の入れ知恵
しおりを挟むナオミにこの事を聞いてみたのですが、うやむやな返事があるだけ。
そもそも、サリーがなぜ肩入れしてくれたのかも不明、ただナオミの態度から察すると、あまり突っつかない方がよさそうな感じがして、ベネデッタは聞かない事に決めたのです。
「うまくいきそうね」
「それはもう、このままいけば、マルス文化圏はヴィーナス様をあがめる世界となるでしょう」
「人々の深層意識、遺伝子には、ヴァルナ評議会議長に出会えば、無意識にひれ伏すようになっているようですが、ヴィーナス様はそれを嫌がりますからね」
「皆が自発的に行えば、致し方ないと思われるはずです」
「本当にアナーヒターは面倒なのですからね、バレアレスを起点に、エラムのように問答無用にアナーヒターにしたがう世界にしなければ、これから先が面倒になる」
「確かに、ヴィーナスネットワークは拡大の一途、加盟世界は広がるばかり、ゴタゴタいう世界は面倒なばかり、それをマルスがするとなると、悪しき先例となります」
「イシス様の御懸念は、ミリタリーの首脳陣も共有しているようです、でもマスターに怒られませんか?」
「大丈夫よ、なんせアナーヒターのアイデアですからね、私たちはそれを手助けしただけ」
「サリーさんも納得していましたからね、そりゃあそうでしょう、優秀な人員は不足気味、ウイッチ志願者を増やすためなら、協力してくれますよ」
「結局、マスターが知らないだけですね、お気の毒のような気もしますが……」
「マレーネ、最終的にはアナーヒターの女が増えるのですから、そんな同情は無用ですよ」
「そうでしたね、マスターは女を抱く事が、仕事であり趣味でした」
「そうよ、色魔に餌をあてがう話なのですから」
マルス全土から優秀な生徒が集まり、ここの卒業生はバレアレスメイドハウス所属となり、博愛の魔女団員は、バレアレスメイドハウスに籍を持つことになるのです。
二年が過ぎ、高女課程に生徒が進級する頃には、このテンプル女学校卒業生から、寵妃が出るのは確実と、誰もが確信したようです。
なんせここの生徒は美女ばかり、その上に頭脳明晰、美子への忠誠は見事なものなのです。
テンプル女学校が、はっきりと美子の女奴隷育成機関とマルス全土に知れ、しかもそれゆえにかなり優遇される。
魔法という力を与えられ、ヴィーナスネットワーク全域が目の前に開かれる。
それがテンプル騎士団領、つまりは法王領で実行されたという事が、マルス社会の雰囲気を変えていくきっかけになったのです。
たしかに入学時の生徒は、容姿端麗とは言い難い生徒もいます。
しかしかなりのスパルタで、日常生活を律すれば見違えるほどに美しくなれる。
美女という条件は努力で緩和される、その努力は皆に平等で、結果の果実も等しく訪れる。
成功を求め、ヴィーナスネットワークの扉を開けるのには、我が身と心を代価としなければならない。
そして当然の事ではあるが、努力も最大の代価として要求される。
そのような考えが、マルス全土に拡がって行くのです。
FIN
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