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第二章 ベネデッタの物語 魔法女学校

嫌な役回り

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「ギヨーム総長、ベネデッタさんに、バレアレス振興策を訴えさせて、私を巻きこむなんて似合わない事をしましたね」
「美子様は、男の願いなど聞かないからですよ」
「そんな事はありません、法王様のご希望など、多々聞いていると思っていますが?」

「私の願いは、聞いてくれないじゃないですか!」
「総長、貴方の願いは聞くのではなく、聞かされるのでしょう、いつもいつも貧乏くじは私と、認識しているのですが?」

「そうですかね?」
「私は嫌いではありませんよ、目的達成のために努力するのですからね、手の上で踊って差し上げますよ」
「嫌味がきつくありませんかね」
 ここで美子さん、結構笑いました。

「とにかくバレアレス振興策、といってもネットワークでの発言力強化のための、八年制高女設立計画、詳細を詰めましょうか?」

 美子さんはかなり詳細な計画を提示し、それにギヨーム総長が手を入れています。
「総長、なにか良からぬ事をたくらんでいませんよね、この高女は容姿端麗は不問ですよ!」

「能力優先ならいいのでしょう、しかし美子様のメイドになるわけですから、それなりに美しくなれるのでしょう?」
「シャルル枢機卿に似てきましたね」

 デモレーの八年制高女は容姿端麗は不問、整形などせずに、生徒は美しくなれる事が決まったです。
 エラムの魔法学校をモデルにしたようです。

 ギヨーム総長が、
「新設の医療魔法組織ですが、テンプル女子修道会が、その母体になってよろしいでしょうか?」
「女学校を提供したのですから、かまいませんよ、マルスにおける『奉仕の魔女団』みたいなものですからね」

「ハウスキーパー事務局の許可を取ってくださいね、私が口をはさむと、またつるしあげを頂きますので」

「それこそ男の私では無理というもの、サリー様に要望を伝えるすべが有りませんが?」
「ベネデッタ・アルクーリに、働いて貰いなさいな」

「私が……ですか……ハウスキーパー事務局に行って許可を取るのですか……」
 露骨に嫌そうな顔をするベネデッタ、ハウスキーパー事務局の許可だけなら、簡単に取れるのですが、この許可というのは、『百合の会議』の議題に上げるという事です。

 でも先ごろ、その『百合の会議』で、とんでもない懲罰騒動が起こったのを、目のあたりにしているのです。
「『毒薬料理』の後のオムツ……」
 
 ニライカナイのハウスキーパー事務局に、恐る恐る出頭してテンプル女学校の件の許可を申請すると、
「その件についてはサリー様が直接話を聞きたいとおっしゃっておられましたが、申し訳ありませんがただいま会議中なので、一時間後にお越し願えませんか?」
「一時間後ですね、分かりました」

 ベネデッタは暗い顔でとぼとぼと歩きながら、
「どうしよう、なんて云われるのか……」
 と呟いています。

「とにかく時間をつぶさなくては……」
 近くにあったニライカナイカフェに入ると、コーヒーなどを飲んで……

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