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第一章 未確認重要事項保護局
ディアヌ
しおりを挟むディアヌさんが、
「痛みは消えました、余命いくばくもない私でしたが、命を頂いたのは分かります」
「当初の約束通り、私は献上品です、その様な物に服はいりません」
拍手したくなりました、アナスタシアさんをみるようです。
シャイロックの末裔にも、立派な女がいるのですね。
私はガルムに命じました。
「ガルム、この女についている悪しき者を、食べてあげなさい、私の女に、いつまでもしがみ付いている馬鹿者どもは、許せませんから」
ガルムが赤い四つの目を開きます。
一声吠えると、ガルムがのそっと立ちあがります。
ディアヌさんを睨みつけますと、その周りからなにかが、浮き上がってきます。
そしてガルムが口を開きますと、吸いこまれるようにそのものは喰われてしまいました、三ついましたね。
私はディアヌさんの服を復元しました。
「ディアヌ、服はありますよ、抱いてそのまま支配しようかとも思いましたが、気に入りました」
「事務担当者に貴女がなってくれるなら、いってください、この件についての拒否は、貴女の自由としましょう、嫌ならこのまま帰してあげましょう」
「大丈夫、身体はそのままにしておいてあげます、そのヌードの代価としてね」
「私はルシファーさまの事務担当者になります」
「どういうことか、覚悟の上ですね」
「ここへ来る時から覚悟の上です」
「私は貴女の覚悟が気にいりました、なにか一つ望みがあれば、聞いてあげましょう」
「私はネイサンから、ルシファー様の長いお名前を聞きました」
「そのことより、本来のお姿ではないのではないかと考えます、一生をルシファー様に捧げる覚悟ですので、本当のお姿を、一度お見せくださいませんか」
「できましたら、ここにいる父にも、私がどのような方に身を捧げるのか、見せておきたいと思います」
「ディアヌ、私は貴女の一生を、拘束はしませんよ」
「いえ、命の恩人でもあられますし、ここまで裸をさらしました、父の目の前でさらした以上、どこへ身をよせましょう」
古風な考えですね、でもこれには姉も頷いています。
サリーさんまで、チョーカーをなぜ授けないのかと、目が物語っています。
エールさんが、
「あるじ様、私もあるじ様にお仕えして日が浅く、ディアヌと同じ思いです」
「そうですか、望みに答えましょう」
私は本来の姿、アナーヒターの姿になりました。
光り輝き、すらりとした背の高き、美しき女神、力強い色白の腕を持ち、四角い黄金の耳飾りと、百の星をちりばめた黄金の冠をかぶり、黄金のマントを羽織り、首には黄金の首飾りを身に付け、帯を高く締めた美しい乙女……、古代に賛美され尽くした姿です。
「フランスの男爵さん、私に逆らうことは死を招きますよ、ネイサンにもいいましたが、私はこの世界への不干渉は約束してあげます、怒らさないでくださいね、八つ当たりでも、この世界を破壊できる力が私にはあります」
「ナノマシンを知っているようですが、あのナノマシンを瞬時に創った事で分かるでしょう」
「いまここにいるエールは、そのものスバリですよ、できれば私は、この生まれ故郷でゆっくりしたいだけですが、それでも私は残酷ですよ」
「ネイサンには、望み通り事務担当者はディアヌにしたと伝えなさい」
「したがってネイサンの父、あの燃やした男の一族は、仕方ないので、今回は大目に見ると伝えなさい」
「それからディアヌ、私に身を捧げる決心だけもらいましょう、どこかの男と結婚するなら、その男に下賜してあげます、ただし私の許可を取りなさい」
「男爵さん、そう言うことです、あなたも自分の娘が、私の物であることだけは、心に刻んでおきなさい、それから二人とも、悪いけど、この事に関しては誰にもいえませんし、文字にもかけませんよ」
「ではディアヌ、また明日ね、以後頼みにしますよ」
「ガルム、しばらくディアヌの護衛を命じます、あなた、姿ぐらい消せるでしょう?」
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