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第一章 未確認重要事項保護局
ネイサン
しおりを挟むエールさんが、その男に向かって「汝の名は」と聞きますと、「ネイサンです」と返してきました。
仮の名前ですが、ブナイブリス筆頭当主の意味があるのでしょうね。
エールさんが、「その響きの意味でいいのか?」と聞きますと、頷きました。
「この始末をどうつけるか?」
「できましたら、ルシファー様のご意向のままにいたしたいので、私にお会いしてくれませんか?」
「あるじ様は、命で購えとのご意向である」
「ならばその場で、私の命をさしだしましょう、ですからここにいる者の無礼は、お見逃しいただけませんでしょうか」
「彼らも十分、無礼な結果がどうなるかは、身に沁みたはず、以後は控えるでしょうし、私が責任を持ってさせません」
この男と会ってみますか?その胆力を認めましょう。
エールさんにその旨伝えました。
「あるじ様は、汝の胆力に免じてお会い下さるそうであるが、命の保証はしないと、おっしゃられている」
「それなりの覚悟を持ってくるように」
「無礼を働いた者は、それを心底反省するなら、お許し下さるそうであるが、反省のない者は、一族の命で購ってもらう」
死神は消え、発狂した者の精神も戻りました。
そしてやはりいますね、この場をやり過ごして、私に逆らおうとする者が。
「ネイサン、この期に及んでも愚か者がいる、まずお前、あるじの情けに唾する者よ、地獄の苦しみを味わってもらおう」
一人の男が自然発火します、温度の低い炎がじりじりと焼いていきます。
絶叫が響きますが、炎は舐めるように身を焼いていきます。
簡単には死にませんよ、死ぬ寸前に少しだけ治療してあげていますから。
私、本当に残酷ですから。
見かねて、ネイサンがとどめを刺しますが、そんなことで楽にはさせませんよ。
「無駄だ、地獄の苦しみと言ったはずだ」
「汝らも良く見ておけ、あるじ様に、愚かにも逆らおうとした者がどうなるかを」
「汝らは常に他人を見下していた、愚かにもその視線をあるじ様にも向けた、その罪は重い」
「この星など、一瞬で破壊できる力をお持ちの、あるじ様のお怒りにふれた以上救いはない」
「慈悲をお願いできませんか」と、ネイサンが訴えます。
エールさんはネイサンを無視して、
「愚か者はもう一人いる、お前だ、この後、楽しみにしていろ」
その中年男の手足は、絶叫と共にへし折れました。
さて、終わりにしましょうか。
「ネイサン、今回、あるじ様は格別のお情けを下さるそうだ、この馬鹿者をお前にくれてやろう、どうして欲しい?」
「できましたら、命は……、いえ、お心のままに」
炎が消えました。
焼かれた男は、もとに戻りましたが、髪は真っ白になっていました。
もう一人の男に、
「汝は自身をどうして欲しい」と、エールさんは聞きます。
きついですね。
「戻して頂きたいのですが……」
「では汝の一番大切な物を差し出すように」
その男の手足はもとに戻りました。
「ネイサン、五分猶予を与える」
ネイサンは年寄りたちに別れをいっています、そして妻や子供にも。
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