惑星エラムより愛をこめて 第五部 ヘヴン編 【ノーマル版】

ミスター愛妻

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第六十七章 三貴子

ルシファー様はこんなにも小さい

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 サミジナは、三貴子の率いていた残りの戦闘部隊を、あっさりと片付けた。
 眼の前の黒い封印空間は、まだそこにある。
 しかしサミジナはそこから離れなかった。
 主であるイザナミの命でもあるが、それより何故かわからないのだが、ルシファーの側にいたかった、なにか役に立ちたかった……

 その時、封印空間が崩れた。
 中からルシファーが出てきたが……
「ルシファー様!」
「サミジナさん、待っていてくれたのですか……」
「悪いですが抱えてくれますか……少々ボロボロにされましたので……」

 ルシファーは血だらけであった。
 左目から大量の血が流れている。
 見れば右手は、小指と薬指がなくなっている。
 しかも右肩は異様に歪んでいる……

 服もボロボロになって……その足元にはあの三体のアンドロイドが転がっている……
 アンドロイドは無残な状態ではあるが……余程の激闘だったと、サミジナには理解出来た。

「悪いのですが、そこの女の上半身、チョット持って帰りたいので、私に抱えさせてくれませんか」
 サミジナは戦慄した、左手が骨折している……

 サミジナは云われるとおり、天照大神(あまてらす)を抱えさせて、その上でルシファーを抱きかかえた……
「痛い……」

 小さく、その手の中のルシファーがうめいた。
 足も筋肉が切れかけている……
 ここまでして戦われたのか……

 軽い……そして小さい……我等が主、世界を統べる総帥は、こんなにも小さいのに、こんなにボロボロになって……

「とにかく、制御ルームに戻りましょう、マレーネ様がお待ちになっているでしょう」
「そうですね、深雪さんも心配ですし……それよりサミジナさん、怪我はなかったのですか?」

「私ですか?あちこち傷は受けましたが、大したことはありません」
「すいませんね、傷を負っている方に、私以外に、この女まで抱えさせて……」

「いえ、光栄です、でもイザナミ様のやっかみを買いそうです」
 少々すねている、イザナミさんを想像してしまいました。

「しかしこのアンドロイドの残骸、どうされるつもりなのですか?」
「私の為に、働いてもらうつもりです」
「……しかし敵ではありませんか!」
「助ける値打ちのある女です」

 ……こうして私たちも救っていただいたのか……
 サミジナは、この抱えている小さな女の、度量の大きさに感心するばかり……

「それに綺麗な女ですから……私はスケベで有名ですからね」
 この時、サミジナさんは声を上げて、笑ってくれました。

 それにしても痛いですね……というより泣き叫びたいぐらいの痛みです。
 脳内麻薬で抑えてはいますが、それでもこれほど痛いのですから……

 でも、おかしい……本当ならもっと早く、身体が治っていくのですが、どうやらナノマシンが、まだ停止しているようです。

 私自らの意識の力で治していますが、疲れ果てている現状では、それも儘(まま)なりません。

 三貴子は倒したはずです。
 彼らなら、私専用のナノマシンといえど、停止させることは可能ですが、それ以外には……
 キュベレーなら可能でしょう。
 あのオーディンの後釜ですから……オーディン?

 ひょとして……まずい状態では……
 とにかく、もっと脳内麻薬を分泌しなくては……この痛みを消さなければ……

 サミジナさんに運ばれている間、私は全力で自身の治療をしました。
 痛みは少しましになり、足も我慢すれば動けるようです。

 そして制御ルームに運ばれました。

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