28 / 148
第六十四章 天使の策謀
オーナーが月震で転んだ
しおりを挟むこいつら、ひたすらに打ちかかって来るだけです。
攻撃ビーム、つまり荷電ビームをぶっ放すだけの、能無し共、なにが天使なのか!
近接戦闘も出来ぬのに、私にうちかかってくるのは無謀でしょう。
せめて得意な、遠距離攻撃に専念するため、身を隠して攻撃するということは、出来ないのですかね……
哀れですね、しかし、生かしては帰しませんよ。
私は跳躍しました。
敵は意表を衝かれたのでしょう、反応が一瞬遅れたようです。
その間に、二体の胴をぶち抜きました。
もう乱戦、互いにビームや電撃は出せません。
孤軍奮闘ですが、破壊に酔いそうです。
その昔、ビクトリアさんが云った言葉を思い出しました。
血に酔ったと……
その勢いで、あと三体の頭を叩き壊し、さらに二体は、足で蹴りあげて怯んだところを、電撃杖で胴をぶち抜きました。
この時、電撃杖がついに折れます。
即座に私は、小雪さん譲りのダガーナイフ、グリップガードを備えた本格的なトレンチナイフと、大型の30センチはあろうかと思われる、両刃のナイフを両手に持っています。
あと三人です。
乱戦を維持するために、三人の中に飛び込み、一人の頭をグリップガードで叩き割り、もう一人は大型ナイフで胸を貫き、えぐっておきました。
この時、最後の一人に肩を貫かれました。
大型ナイフがカラッと落ちます。
「あとはお前だけだ、私は片手だ、チャンスは有るぞ」
その智天使は返事もせずに、飛びかかってきました。
トレンチナイフが胴を貫いたのですが、この相手、そのまま私にしがみつきました。
「もらった、ともに死んで頂く、私はジョフィケル、智天使(ケルブ)の長(おさ)……」
そのまま自爆してくれました、50メガトンはありました。
ロシアのツァーリボンバ――爆弾の皇帝とよばれるソ連が開発した最強の核爆弾――クラスです。
ナノマシンのフィールド内ですので、何ほどのこともないのですが、さすがに私も無傷とはなりませんでした。
全身大やけどで放射能まみれ……
自身で治療のイメージを発動して、放射能汚染を優先して治しましたが、一時間ほどかかりました。
肩から流れた血が固まったまま、すぐに私は仁科さんのところへ戻り、とにかく治療を始めました。
その頃には、町は大騒動です。
ツァーリボンバクラスの爆発で、再び町は大揺れしたのです。
ブティックから連絡が入っていたのか、私の傷を聞いて驚いたのか、ネイサンさんが奥様をつれて、ブティックにやって来ています。
ご夫婦で後始末をしてくれます。
仁科さんを何とかして、とにかく近傍のホテルを手配してもらいました。
晩餐会は翌日に延期、テレビでは、オーナーが月震で転んで、怪我をしたので、晩餐会が一日延期となったと報道しています。
まっさきに、サリーさんとエールさんが飛んできました。
「エールさん……あれは智天使(ケルブ)……私はヨミの時のように、記憶データーは壊さないようにした……多分、データーは取り出せないだろうが、それでも一応調べて下さい」
「マスター……そこまで考えて……」
「とにかくヴァルキュリヤたちには、警護を命じてあります」
「ルナ・ナイト・シティの警備用の戦闘ロボットをお借りします」
と、エールさんが云いました。
「まったくお嬢様、転んだのですか……」
サリーさん、泣いています……
「どうして……いえ、もう聞きません、いくら私でもわかります」
「お嬢様が大怪我なさるのです、それなりの相手だったのでしょう」
「とにかく今夜はお休み下さい、エールさんが云われたとおり、ヴァルキュリヤたちがお側でお守りしてくれますから」
「大したことはないのですが……ところでお願いがあります……連れていた女は、私のために命をかけてくれたのです、くれぐれも頼みます」
「お任せ下さい」
この時、私はかなり判断力が低下していたのでしょう、どうなるか予想できたのに……
そして12月26日には、仁科雅美さんの首には側女のチョーカーが輝き、幸せそうなバラ色に、頬を染めた女になっていました。
この日、私は痛みを堪えて晩餐会に出ました。
私の侍女として仁科さんを引き連れてね。
結構仁科さんは無口なのですが、別人のように明るくなり、そして色っぽくなったのはどうしてでしょうね……
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる