惑星エラムより愛をこめて 第五部 ヘヴン編 【ノーマル版】

第六十三章 最後の審判は干戈で

時間稼ぎ

　さらに、ガッルスと呼ばれる長老が、
「……総裁、その話が本当なら勝てないぞ」
「それが勝てる」
「……」

「新しい艦隊はルシファーの一括管理、そうなるように仕向けている」
「もし、ルシファーと念の為にイシス、この二人の女を亡き者にすれば、後は烏合の衆、新しい艦隊は動けなくなる」
「手強いのはオルメカだけとなるが、そうなれば戦力優位、何ほどのこともない」

「先程から聞いていると、総裁は女どもの中に、情報源をお持ちのようだが？」
　ミダスと呼ばれる長老が聞くと、
「もっている、ただ詳しくは勘弁して欲しい」
「この話はここまでに願いたい」

「諸君、先程いったルシファーとイシス、この二人の女を亡き者にする為には、あの三体のアンドロイドが必要になる」
「今少し時間を稼ごうと思う、イザナギが全力で欺瞞を見せている」

　ミダスが、「あとどれくらいかかるのか？」
「１２０日程度だ」
――アスラ族の暦はエラム歴とほぼ同一、一日の長さもほぼ同じ――

「そのぐらいなら……しかし、本当に三体のアンドロイドで、アスラの二人の女を亡き者に出来るのか……ヴァルナ評議会議長とは、とんでもない力を持っている者がなるのが決まり……」
　と、デュマス。

「わかっている、もし三体のアンドロイドでも倒せない時は……奥の手がある……これも聞かないでくれ」
「総裁は、打てる手は打っておられるということのようだ、とにかくあと１２０日か、それまでイザナギには悪いが、暗黒星雲からの出入口、命がけで隠してもらおう」

「総裁……なにも時間稼ぎをしなくても、私たちにお命じになれば、その二人の女の生首、ここにお持ちいたしますが……」
「智天使（ケルブ）の長(おさ)ジョフィケルか……汝ら智天使（ケルブ）の炎の剣を持てしても敵(かな)うまい、無駄死だ」

「総裁、そして五長老の方々……私からもおすすめいたします」
「ジョフィケルにやらしてみては、いかがでしょう」
「ミカエル……汝が勧めるなら、ジョフィケルはお前の部下でもある、良きようにせよ」

　ミカエルが、
「ジョフィケル、聞いたであろう、自ら望んだのだ、女どもの首か、汝らの首かである」
「イザナギが、女どもに分からぬように入り口を開く、智天使（ケルブ）たちを率いて、かの地で戦ってみよ」