惑星エラムより愛をこめて 第五部 ヘヴン編 【ノーマル版】

第六十三章 最後の審判は干戈で

艦隊増強

　衛星オルメカでの軍事会議により、ある兵器類を、オルメカの艦艇に装備することになりました。
　陽子崩壊領域設定バリアとマグネター砲です。
　これはイシスさんがマレーネさんと開発したもので、古代のアスラ族にはなかった兵器です。

　オルメカの艦艇を、赤子の手をひねるように壊滅させたものです。
　シウテクトリさん以下、オルメカのジェネラルたちのたっての願いです。

　オルメカの艦艇は約六千隻……しかしマレーネさんは、宇宙艦隊を全力で建造していますので、余力はありません。
　そこでエラムの薫さんに製造を命じました。

　薫さんは複製の名手、材料とエネルギーが存分にあれば、マレーネさんほどではなくとも、かなりの製造が可能です。
　とにかく、全力で製造してもらいます。

　運搬の為に、宇宙連絡鉄道は当分、貨物鉄道です。
　五日後から毎日、二百セット……一月あれば……

　さらにこの約六千隻には、私のナノマシンを増殖させます。
　自動的に破損場所を復旧させるはずです。

　十二月の初旬、惑星エラムより、最後の荷物がステーションＤに届きました、思ったよりも早かったですね……
　さすがに薫さんもお疲れのようです。

　私はしばらく小雪さんに、代わりを命じました。
　なんとか第二衛星の管理ロボット群をこき使って、十日ばかりは代わりができるでしょう。

　薫さんをこちらに呼びますと、スーパーハイゲートを通って来ました、ホント便利ですね。

「ご苦労様、疲れたでしょう」
「さすがに、これほど働かされたことはありませんよ、アンドロイドといえどクタクタです」

「ここで少し休んで下さい、ドライフルーツでもいかが？」
「惑星フルーツガール産ですか？」
「有機体でしょう、糖分は力がでますよ」

「食べたらお風呂に入りましょう、背中を洗ってあげますよ」
「今回ばかりは甘えますよ、マスターに奉仕してもらいましょうか」
　二人でチャプチャプしましたね……でもさすがにエッチは無しでしたけど……

　薫さんが、
「少し休んだら、恒星間戦闘艇ノーチラス改級なら私でも建造出来ますので、幾隻か作ろうと思っています」
「マレーネさんほどの量産は出来ませんが、月に五隻ぐらいならなんとか可能ではと思います」

「出来たらノーチラス級を改良して、補助艦艇を作ってくれませんか？」
「それは構いませんが、どのような物がご入用なのですか？」

「戦闘指揮艦、情報通信を専門に、艦隊を指揮する艦艇です」
「オルメカの各方面軍に一隻とシウテクトリ用、スペースミリタリーのゼノビアに一隻、ヨミのプレネオ方面、黄泉醜女、イザナミで十四隻、情報通信能力は最高を要求しますが、武装は陽子崩壊領域設定バリアと、マグネター砲だけで構いません」

「テラ歴で三月かかりますが、よろしいですか？」
「いいですよ」

　十二月の中旬、ついに、オルメカの艦艇六千隻は最新兵器を手に入れたのです。
　戦闘指揮艦も、一番艦がゼノビアさんに引き渡されました、この艦はヘルメス級と呼ばれることになりました。

　その頃、『セイレンの魔女星雲』左目の、暗黒星雲のさらに最深部では……