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第六十一章 幻
きっかけ
しおりを挟む「ディアヌさん……生死の話は、約束することは出来ない……でも最大限の努力は致します……」
「もし……お戻りが叶わぬ時は……私からお迎えに行きます……何処へなりとも、如何なる時でも……」
「でも……貴女なら、人並み以上の幸せが望めるはずでは……私がいなくなったら、その様な未来を手に入れて欲しいのですが……」
「愛人の方々が、その様な行動を取られるとお考えですか?」
確かにサリーさんなら……
私の頭に彼女たちの顔が浮かびます。
確かに私が存在できなくなれば、後を追いそうです……アテネさんなどは間違い無しでしょう……
彼女たちは、私と運命を共にしているのです。
今更ではありますが、それを実感しました。
私が考え込んでいると、ディアヌさんはさらに言葉を重ねました。
「ミコ様は永遠の時をお持ちとか……星々の方々のお話を小耳に挟んだことがあります」
「私は安心していました、少なくとも私は、ミコ様を思いながら先に逝ける……ひょっとすればミコ様に抱かれながら……なのに……」
ディアヌさん、長い睫毛に雫が……瞳が濡れていますよ……
「ディアヌさん……もし……良ければ時を共にしますか?でも、ご両親やティアとは時間の流れが別になりますよ……」
「構いません!」
間髪入れずに答えたディアヌさん。
私はディアヌさんを佳人にすることに決めました。
ただし、サリーさんと百合の会議の承認が必要です。
なので、私はまずサリーさんに相談します。
「お嬢様、ディアヌは間違い無しに佳人に値します」
「ディアヌを佳人にするには、その前に今回の論功行賞を終わらせなければなりません、ディアヌだけとはいかないでしょう?」
「そうなのです、でも女の事は、ハウスキーパーに相談しなければ……」
「もう、愛人に自分の女の管理を任せるのですから……」
「とにかく愛人を集めましょう、イシス様のお考えもお聞きしなくては行けませんし」
「姉ね……絶対に予定より増えますよ……」
「でもイシス様が、愛人は十五人とお決めになっていますので、まずはこの枠を何とかしなくては……誰を愛人にかはお分かりですね」
「シウテクトリさん、深雪さん……」
「この二人は誰も反対しないでしょう、それにゼノビアさんは麗人に、イザナミさんも、麗人にはしなければ収まらないでしょう、それからテラですよ」
なにか久しぶりですね。
エラムの日差しを浴びるのは……
今日の夜の番は誰だったか……
フランソワーズさんでしたね……
なら明日の日曜日もエラムでゆっくりしましょう。
夜はホラズムに出向きましょう。
「ロランス女官長、今夜はジャイアールに泊まりたいのですが、構いませんか?」
満面の笑みを浮かべて、ロランスさんは、
「ホラズムの女官はいつ如何なる時にも、アフロディーテ様をお迎えできる準備はできています」
「今宵の夜伽はフランソワーズ、アナスタシア様より、ホラズムで待機するようにと、ご指示がありました」
それでこの日に、会議をエラムで行ったのですか……ロランスさんの満面の笑みな訳ですね。
昼前には会議は終わり、少し時間が出来ました。
良い機会ですので、私は前から気になっていたことを調べることにしました。
この惑星エラムは、そもそもオーディンが作り上げた惑星、いま対男性体戦争を覚悟した以上、何か情報が無いかと思うのです。
惑星アールヴヘイムンには、貴重な情報がありました。
そのような物が残っているとすれば……このエラムが最有力なのです。
エラムはマレーネさんと薫さんが管理していましたが、太古、惑星の創世記のこととなると、別の次元の話です。
まず殆どは残っていないでしょうが、何かが残っている可能性を秘めるのが、この御座所に封印されていた場所……そう『霧の底の図書館』……
遥かなレムリアの記録が残されていますが、ここの中に、何らかの情報が残っているのではと思うのです。
オーディンは下僕である、人工知能マレーネに、全てを封印しているとは思えません。
そもそもマレーネさんの建造前のデーターなどは、マレーネさんにはあずかり知らぬこと……
でも……生物であったオーディン……遥かな未来の、ヴァルナ評議会議長にメッセージを残した男……
男は何処かに、自らの功績などを残したがる者たち。
レムリアの記録に、ちっぽけでもいいから、何か伝承などの記録があるのでは……そう思い至ったのです。
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