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第五十八章 諮問

去るものがあれば、来るものもあり

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 ニライカナイ・マスターハウスで、イシスさんがヘスたちの話を、ヴィーナスさんへ報告しています。
「面白い話ね、私たちの歴史は、デーヴァの歴史の投影というところなのですね……」

「あまり驚かないのね」
「ある程度は、こうじゃないかなと、思っていましたから」
「テラとエラムの歴史は必然性があった、いろいろと枝分かれしていても、『時の輪』に収束されていく、輪廻はとめられない」

 イシスさんが、このようなことを云いますと、
「姉さん、そんなことはないと思うわ、いま私たちは『時の輪』を正しくした」
「私たちが知っている輪廻というものは、正しく回っていなかった」

「確かに最後は、滅亡がやってくるのでしょうが、少なくとも、絶望の果てに滅亡を望む、そんな未来ではないでしょう?」
「危機は去ったのですから、とりあえずのことをしなくてはね」
 ヴィーナスさん、微笑みながら言葉を返しました。

「アナーヒターにそういわれると落ち着くわ、そうね、戦時体制は解除したけど、かなりネットワーク世界は動揺しているわ、離脱惑星が出たぐらいですからね」
 
「聞いているわ、愚かな行為の結果、虫の蹂躙にあったとか」
「ライフラインは全て壊され、男は残らず食われたと聞いたわ」

「どうやら後々、私たちに勝利したら、フルーツガールのように、食料放牧場とする計画だったらしいって」
「ほっとけば生存できないのですから、『後顧の憂いは無い』ということのようね」

「生き残りがなきついてきたようで、何人かいる該当惑星の出身ウイッチさんたちが、嘆願書を連名で出してきたわ」
「でもね、ミリタリーがかなりお冠なので、どうしようかなと、思案しているのよ」

「そうね、審議会でも過激な意見が飛び交っているようだし、結局どうするの?ゼノビアなんかカンカンよ」
「テラの三級市民地域の扱いね、もっとも、いま少し下の扱いになるわね」

「去るものがあれば来るものもあり、実はね、デーヴァの惑星が、幾つか残っているのよ」
「エラム宇宙に寄り添うように存在する、極小宇宙にあったの」

「それに虫の食料惑星を、かなり接収してしまったの」
「この後始末のために、戦時最高幕僚部は解散できないのよ」
「天照大神(あまてらす)だけ、楽になるなんて許されないわ」

「幾つあるの?」
「デーヴァの惑星っていうのは、インペラトルの直轄惑星だったところで、インペラトル個人への、エネルギー供給惑星だったようなの」

「悲嘆のエネルギーだから、どんなところか分かるでしょう」
「三十二あるわ、ラティとプリーティが管理していたようよ」

「虫の食料惑星のほうは、戦いで残った分だけなのだけど、それでも千を越えるとおもうわ」
「そのうちの一割は、フルーツガールのような惑星なのよ、女の地獄がやってきそうよ」

「良く意味が分からないのだけど?」
「虫の食料惑星のほうは、天照大神(あまてらす)のプラネテスに押し付けるつもりなのよ」

「ヒルコを転籍させれば、彼女なら千ぐらいの惑星、管理できるでしょう、ついでにフルーツガールも編入して、あそこのモタ姉妹と一緒に管理させれば何とかなるわよ」

「でもね、問題はインペラトルの直轄惑星よ、女ばかりの星でね、ロマーニャのヌミディア女騎兵隊と、サルマタイ婦人騎兵隊のような女たちばかりよ」

「飛び切りの美女ばかりだけど、セックスドールよ、おまけに体力抜群、そんな女たちが惑星単位で三十二よ、新しい支配者にしか従わないなんていっているわ」
「ラティとプリーティだけ、次の支配者に忠誠を受け取ってもらってずるい、というのが言い分らしいわよ」

「カッサンドラさんや、カイキリアさんみたいなのが、惑星単位で?」
「そうなるわね、ところでヘスを抱いてやってね、神妙にしているのですから」
「それに私に従ってくれて可愛いのでね、何とか格子ぐらいにはしてあげなくてはね」

「そうそう、元気になったら、百合の会議が待っていますよ、ラティとプリーティの件、どう言い訳するのか考えていたほうが良いわよ」
「今はそうでもないけど、ほとぼりが冷めたら『つるし上げ会議』じゃないかしら、静養中に『手土産』を考えておくことを薦めるわよ」

「姉さん、嬉しそうね」
「アナーヒター、元気そうだもの、心配期間は終了したの♪」

 こんな話を交わして、なぜか元気になったイシスさんは帰っていきました。

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