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第五十五章 劣勢
無い袖は振れぬ
しおりを挟む「ヘス、よくしゃべったわね、いいの?」
「インペラトル様が勝てば、この状況は永遠に続く、負ければ私は貴方のもの、問題は起こらない」
「気に入ったわ、では教えなさい、この世界の名はなんていうの?」
「ここは惑星アース、デーヴィーのオリジナルの歴史」
とうとう惑星アースが出てきたようです。
その頃、ヴィーナスさんは全員に通達していました。
アーチダッチェスが重症、そのためエンブレスが直接作戦指揮をとると。
とにかくセイレンステーションの指揮は、深雪に一任されます。
深雪の防衛作戦は見事なものですが、虫たちはタイムラグで奇襲してくるのです。
まるで深雪の艦隊を釘付けするように……
殲滅が出来ない以上、ここも泥沼になりつつあります。
……どうやらブラフマーは、私と戦うつもりなのね。
私たちの戦力を見事に分断し、振り回している。
このまま持久戦に持ち込み、惑星世界を崩壊させる方が良いはずなのに、何故?
デーヴァは常に一人、最後に勝ち残った者、デーヴァに仕える者は、勝ち残ったものに従う。
つまり、この三千世界を破壊することが出来ない、そうよね、デーヴァは常に一人、ですものね。
でも、幽子をコピーできるのなら、全ての生物を滅して、自らに都合の良い幽子を大量コピーして、世界を造ればよいのでは……
そんなにオリジナルが大事なのか……
そうか、高等知性体の幽子は貴重、限りある資源とすれば……
輪廻は回る、ならば一定の定数を満たせば、増加は不必要……となる。
私は鏡界を破壊したが、どうやらオリジナルバンクは別にあったのだろう……
戦時最高幕僚部で、そんなことを考えながら、ヴィーナスさんはエンブレスとして命令をだしました。
待機していた、残りの婦人戦闘団をセイレンステーションとヴァルホルステーションに派遣し、さらにイシスの代わりとして、ヴァルキュリアを動員派遣した。
……これで動員できる戦力は枯渇した。
この後は『無い袖は振れぬ』ということね。
エラム以来の仲間がいるだけね、後は私がするしかないわね。
でも……一つに気になるわね、ヘスのあの言葉……
ただラティとプリーティは違う、歓喜に狂う。
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