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第五十三章 ヨルムンガンドの大波
バステトステーション
しおりを挟むオルメカ第一方面軍は、オトリュス宇宙を預かっている。
ここには惑星バステトがあり、猫型のデミ・ヒューマンの星です。
スピンクスが長く執政官をしており、直轄惑星としてバステトハレム、バステトホームがあり、幾人か献上品を出しています。
いまではオトリュス宇宙の、最重要惑星です。
オルメカ第一方面軍旗艦の、オルメカⅠのインフェニティ・カーゴは全力稼働をして、膨大な自動戦闘宇宙艦隊をはきだしています。
そして惑星バステトの周りに、分厚い防衛網を構築しているのです。
そして指揮をスピンクスにまかせ、オルメカ第一方面軍は、湧きでる虫の星系を殲滅すべしと、オトリュス宇宙を駆け回っています。
司令官のトラゾルテさん、きついですからね。
見敵必殺をモットーとしている女です。
惑星バステト執政官のスピンクスは、念のためにユニバースのオトリュス・ステーションに出動を要請しました。
オトリュス・ステーションは、各宇宙に一つは置かれているユニバースの標準的な軍事拠点ステーション、車両基地なども大規模にあります。
評判が良かったチコモストック号の正二十面体形式を採用、標準ステーション十二個を組み合わせたもので、中央部には直径50キロの、『ミニ・インフェニティ・カーゴ』を抱えています。
ユニバースのステーションでは、ヴィーナス・ネットワーク防衛のために、全ステーションにネオニコチノイドを備蓄しています。
これ虫にとっては毒ガスですから……
「トラゾルテさん、少し猪突猛進のところがありますからね、バステト防衛を忘れられたらたまらない」
スピンクスの感は当たったのです。
オルメカ第一方面軍が、広範囲にオトリュス宇宙をかけずり回っている時、惑星バステトの近く、一光年の場所に虫の小さい星系が現れたのです。
オルメカ第一方面軍はその時点で、十四の虫の星系を相手にしており、インフェニティ・カーゴは過負荷がかかっている状態です。
それでも急遽、配下の艦隊の一部を引きかえらせたのですが、さらに別の場所に、虫の小さい星系出現したのです。
すぐ近くにいた、オトリュス・ステーションが迎撃に向かいますが、しかし後から現れた虫たちは、自らの星系の防衛を放棄、惑星バステトの近くに、全艦隊でワープしてきたのです。
困ったことに、オトリュス・ステーションも、膨大な虫の星系を相手する羽目に陥っています。
このため惑星バステトを直接守る、標準型拡大ステーションである、バステトステーションは単独で応戦していますが、敵艦ワープの時、中の二隻が、バステトステーションにぶつかるようにワープしてきて、その表層をはぎ取ったのです。
防御バリアを展開する装置も半数は大破、バリアも展開出来ません。
勿論拡張オプションも、三隻が破壊され、残りの一隻を分離、最小限の武器として、陽子崩壊領域設定バリアが拡張オプションにありますので、バステトステーションの無傷で残っていた第二階に収納してあった、コンテナ群を率いて防衛戦闘をしています。
バステトステーション自身も、第三階にある軍需工場に収納されていたコンバットを動員、第二層の強度を頼りに住人は第四階に避難させています。
この階にある、非常用の汎用小型上陸宇宙艇まで動員しています。
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