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第四章 真野静香の物語 ドルイダス

スカラ・ブレイ管理官

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 「静香さん、今の仕事はどうなっていまか?」

 真野静香さん、執政官府の庶務の責任者です。
 ガリレオ衛星執政官府は、普通の執政官府ではありません。
 ガリレオ衛星開発の関係で、その関係者が執政官府に出向してきています。

 その為、雑務が複雑多岐にわたっていますが、ここの地理的条件の関係で、現地採用職員は望み薄なのです。
 
 ガリレオ衛星開発の参加会社に、雑務のための出向なんてのは頼めません。
 ナーキッドからの派遣を要請していますが、ガリレオ衛星執政官府管轄の、レイルロードのステーションのかなりの部分を委託している関係上、これ以上は難しいのです。

 その為に、ロボットを雑務補助にしていますが、管理する方が必要なのです。

 先ごろあまりに人手不足が激しいので、フィアナステーションに移住したイスラエルの女性たちに、女官補を公募して、何とか最低限の人員を確保したのです。

 その女官補さんたちも、やっと馴染んできて、実務をになえるようになってきたところのようです。
 
「何とかフィアナステーションの女官補さんも、実務に投入できるようになりました、ロボットの管理ぐらいならこなせると思います」

「では転勤をお願いできますね」

「後任をお願いすることになりますが……」
「後任は未確認領域探査局のミエリッキ・オッコネンを、兼務で任命いたします」
「人手不足で専任は不可能なのです」
「後日、新規採用した者の中より、適任者を昇格させることにします」

 この方、もともとが修道女、どのような仕事でも熱心にしてくれます。
 仕事に対しての貴賎は無いようなのです。
 その上になんと言っても優しい方で、その為にフィアナの女官補を任せたのですが、成果を挙げてくれました。
 
 アリシアとしては、真野静香の派遣は避けたいところですが、彼女しかいないというのが現状なのです。

「先ごろ交易を始めた、惑星スカラ・ブレイに、管理官として赴任していただきます」
「クレマチスさんが、軍務の傍らに管理していたのですが、トライアングル線の状況が悪化してきていますので、軍務に専念せざる得なくなったのです」

「本来は執政官をおかねばならないのです」
「側女の貴女なら有資格者、ここには先ごろ問題となった、献上奴隷三名の面倒も見ていただきたい」

「執政官府としては、交易を続けられればいいだけですので、後の全ては一任いたします」
「チョーカーの魔法は使用できるようになっていますので、安全は確保されています」

「献上奴隷三名の面倒?この間の百合の会議が紛糾した要因の?」
「そうです、でももう了承されていますので、いまさら問題にはなりません」
 アリシアさん、問題のないことを強調していますね。

「私は別にどのようなお仕事でも、喜んでお引き受けいたします」
「一任と云われましたが、交易を続けられれば、惑星スカラ・ブレイに対して、私の思い通りにしてもよいのですね」

「任せます、ただあくまでも民生においてで、軍事関係は軍事参議官から派遣される、移動端末型軍用コンピューターの意見を考慮してください」
「移動端末型軍用コンピューター?」
「寵妃を派遣するので、当方からユニバースに軍事関係の人員派遣を要請すると、現在手一杯なのですが、ハウスキーパー事務局からの助言があり、三軍統合司令部で調整して、何とか移動端末型軍用コンピューターを、派遣してくれることになったのです」

「ヨミミリタリーのテコ入れが計画されており、大量建造予定の、小型汎用戦闘宇宙船千鳥(ちどり)型の軍用管理コンピューターの試作品だそうです」

 こうして真野静香さんはヨミから派遣される、移動端末型軍用コンピューターを連れて、惑星スカラ・ブレイに赴任することになったのです。

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