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第七章 邪魔な男
ストーカー大公?
しおりを挟む次の休憩場所につく頃、雨は土砂降りに……
避難というか、馬車が一台止まっており、ティアさんたちの後からも一台入ってきます。
「これ、止むのかしらね?」
「どうされますか?」
「人目がね……様子をみましょう」
「止まないのかもしれませんよ、あの馬車が野営の準備を始めています」
「ここを定期的に走る馬車のようですから、わかるのでしょう」
「野営してもいいけど……住宅は出せないし……テントを出すしかないわ……面倒な事ね」
「テントですか?」
「お給料を使って取り寄せるしかないわね」
「あと、いくら残っているかしら?」
残り24,653円、3デナリウス金貨、5キナリウス銀貨、1セステルティウス銀貨、2クァドランス青銅貨に1円足らず。
「うーん……なんとか安いワンタッチテントを探さなくては……でもあまりぼろいのは……おや、これなんかいいかも♪」
『Y●CONE3~4人用ワンタッチテント』●マゾンで税抜7,712円……四五人用ですから、二人なら十分♪
なんと二つも取り寄せ、一つはタープ代わりにしています。
ロバが牽く『ガバナーズカート』、簡単な小型の二輪馬車に見える馬車に隠れる場所に、テントを設営。
よく考えるなら、設置組み立ては自動の『お取り寄せ能力』、ワンタッチテントでなくてもよかったのですよ。
「寝袋とかは『お取り寄せ能力』で何とかしましょうか?」
この後、必要なものは全て5,000円以下で何とかしたティアさんでした。
残ったのは9,229円、1デナリウス金貨、3キナリウス銀貨、4アス青銅貨、2クァドランス青銅貨と3円残り。
「そういえば、キャンプなんて初めてなのよ♪」
「大丈夫なのですか?」
「『鑑定』があるから大丈夫よ♪」
「あれ、だれか来たわ?索敵が反応しないから敵ではないけど……」
二人が出てみると……
「やあ、やはりラダ嬢とティア嬢だったか、雨なのでここで野営か?」
雨具を身にまとった、カールマン・マルテル様が、供をつれて立っていました。
お供の方は一人、間違いなしの手練れなのでしょうね。
「そうですよ!」
「そう怒ることはないだろう、なにか不自由はないか、見に来ただけだ」
「それは……ありがとうございます」
「女二人では不用心だろうから、隣に我らのテントを張って良いかな?」
「えっっ、反対に不用心なのですが!」
「女!大公殿下に向かって!」
お供がえらく怒っています。
ラダさんが、剣に手をかけています。
「おい、怒るな、相手はうら若き娘さん、用心されているのだ」
「これでも、私は帝国の大公、婦女子をおそうなどありえないぞ、名誉にかけてそんなことはしない!」
少しばかり憤慨したようなカールマン・マルテル大公……
「名誉ですか?帝国の貴族様は、平民の女を婦女子とお認めになるのですか」
「辛辣だな、しかし私は女性は丁寧に接することにしている、女の怒りを買うと、どこで讒言されるかわからぬではないか?」
「設営場所は自由なのですから、どうぞ」
「そういえば、馬車はウォーワゴンではないのですね?」
「今は個人的な旅行でな、荷馬車を伴い馬にのる、と云う訳だ」
テントの設営はやはり軍人さんたち、手早いのですね。
「大きなテントですね?」
いわゆる軍幕テントというやつですが、司令官あたりの物のようです。
「食料は大丈夫なのですか?」
「心もとない、狩をして賄うつもりだったのでな、この雨では狩は危ない、まあ干し肉と堅いパンだな」
「そうだ、一つ言っておくが、供のこの男はチャールズ、私の信頼する部下であり友人だ、口が堅い」
「チャールズ、このお嬢さんたちのことは、何があってもしゃべらないでくれ」
「殿下のご命令、確かに承りました」
このチャールズさん、有能そうですね、男前だし……BLですか?
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