上 下
152 / 156
第十八章 女性世界

飴の効果は絶大です

しおりを挟む

「ハレムが増えると、皆さんと語り合う機会が減るのは確かです」
「私は皆さんに申し訳なく思っています」
「そこで私は皆さんに提案したいのです」

「女官の夫人以上の皆さんには、特典として年齢の不老化がついています」
「側女の方は公表はしませんでしたが、三十五歳から遅延化し、三十六年後に三十六歳、この後は六万年っても三十七歳にはなりません、事実上は不老化となっています」

「側女は三十七にはならない、との噂話は本当なのです」
「惑星エラムの側女の方の中には、百年たっても、三十七歳になられない方も多くおられます」

「この暗黙の特典を廃棄し、チョーカー所持者に対しては不老化を明示し、併せて不老化の上限年齢を下げようと考えます」
「これなら機会が減ったとしても、若いままでいることができますので、語り合える機会が減っても、美しいままの皆さんと出会えます」

「多少なりとも、埋め合わせができると考えるのです、いかがでしょうか?」
 ざわざわとしましたね……脈が大ありです。
 女性は現金なものです。

 サリーさんが、
「ハウスキーパーとしてお伺いいたしますが、ヴィーナス様におかれましては、どのようになされようと、お考えなのですか?」
 私は次の書簡を、サリーさんに提出しましたね。

 側女クラスは三十歳を上限に歳をとらない。
 夫人クラスは、二十五歳から三十歳の間に歳が変動する。
 二十五から毎年歳を取り、三十歳になれば、逆に毎年若返る、そして二十歳から再び歳をとっていく。

 佳人クラスは、夫人クラスと同じとするが、下限を二十歳からとする。

 麗人クラスは夫人クラスと同じとするが、下限を十五歳とする。

 名誉付も待遇付も同じ扱い。

 サリーさんが読み上げますと、明らかに空気が変わりました。

 でも、さらに要望がでます。
「これではリング所持者が可愛そう」
 だそうです。
「しかし、ヴィーナス様に抱かれていないものに、特典はいかがか?」
 やっと反論が出てきました……

「これについては、私は皆さまのご意見に従います」
 後で、姉からこれが分岐点だったといわれましたよ。
 見事な下駄の預け方とね。

 会議はこの件で紛糾します、結論がでません。
 会議を翌日、もう一度開き、決定することになりました。
 決まれば私に、報告されることになります。

 明日会議を続けることとし、一旦閉会としようとしたとき、さらに今度はアリスさんから、
「愛人にもすこしお願いします」
 などと、どさくさの要望がでます。

 アリスさんの希望では、任意選択できる年齢の下限を九歳にせよ、とのことですが却下です。
「でも女官は九歳からとなっています!」
 相変わらず無茶をいう……

 で、愛人クラスの下限を二つさげ、十三歳から三十歳を任意に選択でき、瞬時にそれが反映出来る、となりました。

 で、やっと私は放免されたのです。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

処理中です...