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第十五章 起動幽子
遺灰の男
しおりを挟む延遼館に案内され、私はヘンリー八世からむしり取った、記憶データー映像を眺めています。
三年前……物理的には何もない空間に漂う幽子群……その中の一つの起動幽子が突然起動し、一つの人格を持った……
その人格は、惑星アースの歴史を記憶しており、その歴史の記憶は、宇宙の狭間に迷い込んできた、いくつかの惑星テラの幽子の残骸より、推測構成した『のぞましい』歴史であった……
惑星アース史は『天之御中主(あめのみなかぬし)』様、『高御産巣日(たかみむすび)』神、『神産巣日(かみむすび)』神の、どなたかがお作りになったのでは……
なぜ、その歴史が推測できるのか……
その歴史が漏れたのか?
それはありえない……知っているのは、私と姉のイシス、そして人工知能のマレーネさんだけ……
マレーネさんは絶対にない、それよりかは、私か姉の方が確率は高い……
しかし二人とも、幻のアース史を信じ込まされていたぐらい、そして時系列的には三年前ではない……
では偶然の一致?
もし、起動幽子のオリジナルが、造化三神と同じ思考の持ち主なら……ありうる……
……いや、こうは考えられないか……
造化三神が惑星アース史なるものを、どこかの惑星より拝借したとしたら……
惑星テラを、その惑星史に似せて、創世したとしたら……
……これが……『天之御中主(あめのみなかぬし)』様が、私をこの世界に放り込んだ真意なの……
『アッシュアトゥマン』……英文で『Ashes a to man』、ほぼ『遺灰の男』の意味とは思いますが……
ヘンリー八世が『遺灰の男』なら……その出身種族はなんなの?
カタカムナ言語を使う種族……
ひょっとして、この幽子の世界、いま存在する人々……その幽子は、カタカムナ言語を使う種族の残滓……
あのヘンリー八世もどきはこういいました。
「この世界は私の物……私の理想……誰にもやらない……」
確かに『私の物』なのでしょう……曲がりなりにも作ったのですから……
でも、私の理想といいましたね……
この世界は弱肉強食、争いまみれ……力で劣る女は、虐げられるもの……力なきものは力あるものの『しもべ』……男優位の世界が理想ですか……
私は延遼館で、永々(ながなか)と考えていました……
そしてあることに思い至ったのです……
このカタカムナ言語を使う種族は……滅亡している……
『遺灰の男』は正真正銘の亡霊……滅亡した種族の残滓が、理想の世界を作ろうとしている……
執念というか……怨念というか……
『天之御中主(あめのみなかぬし)』様は、この滅亡した種族の思考を、消去せよと云っているのでしょう……
しかも、何らかの理由で、宇宙と宇宙の狭間に取り残された幽子には、再度の人生を与えよ……生を全うさせよ……
『天之御中主(あめのみなかぬし)』様は、慈悲深き方……
しかし何故……父母には知らせてはいけないのか……
試練というには、あまりに物事が大きすぎるような……
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