102 / 156
第十二章 謀略
疑惑
しおりを挟む1875年五月二十七日、ドイツ社会主義労働者党――1875年にゴータにおいて創設された――が結成されたようです。
ビスマルクさんは怒っているでしょうね……
なんせアウグスト・ベーベル――ドイツ社会民主党(SPD)の創設者の一人――に、活動資金を援助しましたからね……でも、『狡兎(こうと)死して走狗(そうく)烹らる』ですよ……
私は社会主義などの存在価値を、見いだせないのですよ。
三国協商側はかなりおおっぴらに、ドイツ社会主義労働者党を援助しています。
もちろん、その資金源はブラックウィドゥ・スチーム・モービルなのは見え見え、ドイツ帝国を挑発していますからね。
フランスに嫌でも宣戦布告させたように、ドイツに嫌でも宣戦布告させてあげます。
で、どんどんドイツ社会主義労働者党を援助しましょうね、そして事件をねつ造しましょうね……
そして六月十日、ブーディッカ婦人戦闘団が、フランスのロレーヌのナンシーへ移動しました。
ヴェルダンの近くですね、巨大輸送飛行船ギガース号も稼働を始めていますので、一気に移動できました。
六月十三日、ドイツ社会主義労働者党の幹部、ヴィルヘルム・リープクネヒ――ドイツ社会民主党(SPD)の創設者の一人、――がフリードリヒ・エンゲルス――共産主義者、革命家、かなり資本論に手を入れたと思われる――の指示を受けて、ヴィルヘルム1世の暗殺を計画している、との情報が警察当局に入りました。
なんせエンゲルスは、ドイツにおられなくなり、マルクスとともにイギリスにいます……
そしてヴィルヘルム1世の長男、フリードリヒは自由主義者、その奥さんはジョージアナ女王の長女、そしてヴィルヘルム1世はそれを警戒している……
そんな中の暗殺計画……そもそも長男フリードリヒが帝位につけば、イギリスの影響力が増大するのは必須、しかも、黒幕らしきエンゲルスはイギリスにいる……
当局が踏み込むと、マルクスの資本論のフランス語版があった。
そしてブラックウィドゥ・スチーム・モービルの小切手が同封された、エンゲルスの手紙が発見されました。
「資本論のフランス語版を贈呈するとともに、ブラックウィドゥ・スチーム・モービルが、この本を購入した代金の小切手を進呈する」
と、ありました。
問題はその金額でした、なんと当時の装甲艦一隻分です。
誰がどう考えても、本一冊の代金ではありません。
しかも、その手紙の事を、どういうわけかアメリカのAP通信とフランスのアヴァス通信社――1835年設立の近代通信社の先駆――が報道しました。
それには、『社会主義者のドイツ皇帝の暗殺計画露見、疑惑の手紙と代金』と見出しがあります。
そして憶測が乱れ飛びます。
やれイギリスの陰謀説、フランスの謀略説、でもだんだんフランス帝国の要請で、ブラックウィドゥ・スチーム・モービルが資金を出したと、なってきました。
ドイツ国内の世論は沸騰しています。
そこに、アメリカへ三国協商各国が、ガトリング砲を大量発注されていたことを、対独戦争準備として、アメリカのAP通信がすっぱ抜きました。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません
ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」
目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。
この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。
だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。
だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。
そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。
人気ランキング2位に載っていました。
hotランキング1位に載っていました。
ありがとうございます。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる