惑星エラム 幻のカタカムナ 第一部 パクス・ブリタニカ編 【ノーマル版】

第十二章 謀略

贖罪の為に、犠牲は払わねばならぬ

　ここでパトリス・マクマオン公爵が、
「ブラックウィドゥ・スチーム・モービルの戦闘部隊といっても、ご婦人ばかりの小さな部隊、それでドイツの先鋒を叩きのめせるのですかな？」

「できますよ、いよいよならば、私一人でベルリンを灰燼にしてあげます」
「私はそれができますよ、ビスマルクとヴィルヘルム１世に、普仏戦争の屈辱を返しませんか」

「……」

「アリアンロッド嬢の言葉は真実である、私はそれを知っている」
　ナポレオン４世が断言しました。

　そして、
「一つお願いがある、アルザス＝ロレーヌはフランスの領土としたい、これはお約束願いたい」
「住民の意思しだいでしょう」
「……」

「ちょうど良い機会です、ひとつはっきり言っておきます」
「もう時間はない、カンタベリー大主教の例の噂は、ここフランスにも届いているはずですね、噂は真実です」

「世界の人々が、まがりなりにも生き残るには、世界を変えなくてはならない」
「私はその為には、どんな無慈悲な事でもしますよ、世界の半分を見殺してもです」
「生き残りたかったら協力することです」

「当初、イギリスだけで行動を起こそうとしていましたが、そのイギリスの推薦で、フランスとロシアを巻き込んだのです」
「世界が生き残れば、ブラックウィドゥ・スチーム・モービルの株主で世界を統治すればいい」

「ここにいるのは殿方ばかり、気の毒ですが男は減少していきます、それでも明日を迎えなければなりません」

「神の声を聴かれたのですか……」

「私はこの世界の住人ではありません、神に否応なしに、ここに放り込まれたのです、この世界を何とかしろとね」

「私は今まで、いくつもの世界を何とかしてきた、そしていくつもの世界を打ち壊してきた」
「三十億の高等知性体を、この手で消滅させたこともある、百数十年の長き時を生きてきた、それが真実」

「神は貴方たちに、救いの手を差し伸べられたのだ、その手を払うのも良し、それは貴方たちの自由です」

「犠牲は払わねばならぬ、贖罪の為に……」
　と、ブロイ公爵がうめくようにいいました。

「ドイツはスケープゴートになるのですか……」
「犠牲は最小限にしたいとは思いますが、確約できません」
「最悪は、敵対する三国同盟国は消えてなくなります」

「しかしそうなれば総力戦、フランスもイギリスもロシアも、ただでは済まない」
「膨大な犠牲の上に、贖罪が成り立つことになります」

　そしてフランスは軍備の増強を開始し、ロシアとイギリスも準備を始めたのです。

　アメリカには、軍需物資を提供してもらいましょう。
　大量のガトリング砲と弾薬、食糧、とくに缶詰、なんせアメリカの南北戦争では、十分に活用していましたからね……

　この後、テロワーニュ皇太后が、フランス国家が債務を肩代わりした女の中で、希望者の中からさらに選抜した女を引き連れてやってきました。

　一応、私が滞在する間の、ウェイトレスさんらしいのですが……お持ち帰りしなければ、ならないらしいのです。