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第十二章 謀略

ささやかれる神罰の噂

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 ネヴァン号の同型である、タテ――ネイティブ・アメリカンのスー族の風の精霊の名――号は今や忙しく大西洋を往復しています。
 年始めから、ノエリさんがネイティブの女性を、スカウトしているのです。

 一月も終わりの頃、久しぶりにノエリさんが戻ってきました。
「新しい婦人戦闘団編成の、目途が付きました」

 なんでも、授けたペンダントの威力が、物をいったそうです。
 各部族を説得するために、タテ号で乗り付け話をすると、大体が信じなかったそうです。

 その時、このペンダントが鮮やかに輝き始め、突如として、稲妻が天空を踊り始めたそうです。

「すごい威力です、ある時、白人の一団がスー族の居留地に大挙してやってきて、女子供の一団を、虐殺強姦しようとしていたところへ出会ったのです」

「ペンダントがギラッと輝くと、無数の稲妻が舞い降りて、白人をすべて焼き殺したのです、その一団にはシッティングブル――有名な戦士、呪術師――の姉のプリティー・フェザーがいました」

 とにかくユリシーズ・グラント大統領には、ネイティブの部族について、1876年が始まるまでは、表立っての活動は控えてもらっています。

 ただどちらも、自己防衛のためにの行動は、仕方ないですが……
 一応、尊重するとの返事が返ってきています。

 今回の事については、アメリカ政府は何もいってきませんね……
 たぶん、スー族の聖地であるブラックヒルズに、金鉱が見つかったことにより、欲の皮の突っ張った馬鹿どもが、やってきたのでしょう……

「また、アリアンロッド様のお言葉を伝えた時に、嘲笑い私を白人の犬呼ばわりし、ナイフを持って、とびかかってきた男たちの一団にも、突然雷鳴がなり、無数の稲妻が男たちを打ちのめしました」

「各部族は、全てお言葉に従うことを誓いました」
「全部族はもよりの居留地より出ません、男たちはこの居留地を全力を持って守ります」

「そして各部族は、美しくたくましい女を選りすぐって差し出すと誓いました」
「いまスー族の聖地である、ブラックヒルズに終結しています」

 カンタベリー大主教の例の噂が、アメリカにも静かに広まってきています。
 女をないがしろにする者は、神の天罰が下る……
 いままでの行いに対して、神の天罰が下される……

 1875年に噂が真実では……と、人々が口には出しませんが、なんとなく思えるようになってきたようです……
 世界の町や村で、生まれ出る子供たちに、女が多いのです……

 新しい婦人戦闘団の標準編成は160名、ワキンヤン婦人戦闘団と名付けることになりました。
 ブーディッカ婦人戦闘団に所属する、ネイティブ出身者は十三名、つまりは後147名……

 なんでも集まった美女兵士は、160名は超えているそうです。
 今日はその美女兵士を、どうしてナンタケット島婦人特別自治区まで運ぶかとの相談です。

 アメリカ国内を移動するのはまずいですね……といっても時間はないし……
 仕方ない……この間、何とか私が作り上げた、というより無理やり出した、巨大人員輸送飛行船を出動させましょうか……

 この飛行船の名前はフォモール――ケルト神話の巨人族――号。
 全長64メートル、幅32メートル、内部スペースは500平方メートル、乗客200名とともに貨物は30トンほどつりさげて運べます。
 貨物だけなら60トンは優に運べます。

 そしてもう一隻、超巨大輸送用飛行船を完成させています、船名はギガース――ギリシャ神話の巨人の事――号。
 こちらはさらに巨大な貨物専用機で、500トンの貨物をつりさげて運べます。

 その昔のヒンデンブルク号とほぼ同じの、全長250メートル、幅65メートル、これを二隻連結したような形をしています。

 どちらも、ナノマシンが自動的に守るようになっており、安全は保障できますが、スピードは約120キロ、ネヴァン号のエンジン機構を流用、数が多い程度です。

 大西洋横断は、多分30時間はかかるでしょう。

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