84 / 156
第十章 聖夜其之一
クリスマス休暇は備蓄食料で
しおりを挟むそうそう、小型の乾パンも大量に用意しました。
この乾パンの袋と、同数のソーセージ缶、およびオレンジスプレッド、それに金平糖の小さい袋も作りました。
つまりは自衛隊の戦闘糧食そのままです。
違うのは、フリーズドライのキャベツの、小さい袋がついていることです。
一食分をセットにして、小さい箱にいれてあります。
缶詰は軍用ではなくプルトップです。
この缶詰のプルトップは、変な馬蹄形というのか、要は中央部に、長方形の板が残る形に、とれるようになっています。
残った中央部分は、さらに缶の縁についている根本を起点に外側へ折り曲げて、缶の側面中央についている、でっぱりの小さい穴に、引っ掛け止められるのです。
不細工なマグカップ状になるわけです。
プルトップの蓋にあたる部分は、中央より折り曲げると、何とか食材を突き刺すことができます。
一応、ソーセージを全部取り出し、減った分だけの沸騰したお湯をいれれば、大体はうまくスープができるように、調整してあります。
少しぬるいでしょうがね……
まぁ簡単にスープができるでしょう。
なんたって、欧米人は猫舌ですからね。
ただし少し飲んでからでなければ、フリーズドライキャベツは入れれませんがね。
さらにはソーセージを一本、刻んで入れれば、なお良しです。
できるなら、お鍋に入れて作ったほうが美味しいでしょぅが、夏場なら別に水でもよいですよ、基本的にメイドさんたちの非常用備蓄食料ですよ。
味見してみましたが、なかなかでしたので、婦人戦闘団にも支給することにしました。
フリーズドライキャベツは今回だけのものですけどね。
クリスマス・イブの昼前、忙しそうにウェイトレスさんたちが、お食事の準備をしています。
厨房へ出かけて行って、
「ねえ、皆さん、私が作ったパンなのだけど……食べてみない?」
見たこともないパンに、大体の方が固まっています。
「あの……アリアンロッド様がお一人で……」
「頑張ったのですよ、クリスマスですからね」
「ここに残っている方は失礼ですが、帰る場所がないと聞いています、でもクリスマスはゆっくりしてください」
「今日と明日は厨房もお休み、食事はチキンとワインぐらいは私が用意しましょう」
「足りなければ、備蓄している戦闘食ですませましょう」
そう、今はクリスマス休暇で、かなりの方は帰宅されています。
残っているのはクリスティンさん、マッケンジー夫人、エカチェリーナさん……?
「エカチェリーナさん、ペテルブルグに里帰りをしないのですか?」
「私は夫を亡くした身、イギリスの未亡人……居場所はアリアンロッド様のお側しかありません」
「……ありがとう……」
さらにはブーディッカ婦人戦闘団の三人の幹部、クレア・ミラー准将、ノエリ少佐、グラディス・アンブラー少佐……
ノエリさんとグラディスさんは、少佐になってもらいました。
いまではクレア准将の副官です。
ガヴァネスとし、『女孺(にょじゅ)』のリングを授けています。
「皆さんも、お昼に食べてくださらない?」
「もちろんいただきます」
「マッケンジー夫人、今日と明日は、屋敷は厨房も含めて、全てお休みです」
「これから明後日まで、飲んで食べて、羽を伸ばしてください、冷凍食品の解凍の仕方は知っていますね?備蓄戦闘食をすべて食べてもいいですよ」
マッケンジー夫人が、「皆知っています」
「開放しなさい、ある限り食べ放題の飲み放題です、ただし自分の分は調理してね」
そう、マーブル・ヒル・ハウスには、備蓄戦闘食のほかに冷凍食品も備蓄してあります。
巨大な冷凍冷蔵庫があるのです。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!
桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。
令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。
婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。
なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。
はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの?
たたき潰してさしあげますわ!
そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます!
※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;)
ご注意ください。m(_ _)m
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
最強の魔術師になれなかった俺、弟子になった天才少女を前世の知識を使って最強にしてみた
Crosis
ファンタジー
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
どこまでも澄み渡る雲一つ無い青空。
その青空に向けて一人の青年が力無く腕を伸ばして何かを掴もうとする。
それと同時に審判が無情にも勝敗を告げる声が競技場に響きわたる。
この日、青年の夢はついに叶える事も無く潰え、青年は英雄になり損ねた。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる