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第八章 代価

コンパニオン風情

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 あぁ……もういいわ……どんなに世界が変でも、どんな理由でも、私と愛を交わしたこの方たち……
 それゆえにエラムを救い、テラを救い、多くの世界を救ってきた私……
 膨大な人を殺し、数多くの女の人生を捧げさせてきた私……

「そういえば、マッケンジー夫人は?」
「フランスからの、コンパニオン候補の対応をされています」
 と、クリスティンさんが答えます。

 フランスからも、来ているのでしたね……

 ルイーズ・ドルレアンさん、ブルボン・オルレアン家の王女……たしか二十歳と聞き及んでいます。
 レティシア・ボナパルトさん、いわずと知れたナポレオンの一族ですね……この方は信じられないことに、十三歳と聞いています。

「とにかく、ロシアの方たちと会ったのですから、フランスの方も呼んでください」

「それが……フランスのコンパニオン候補以外にも、その……フランスからマーブル・ヒル・レディス・カレッジ入学希望者が……三十名ほど……なんでもフランス国内で選考済とのことで、推薦状とともに……それとアリアンロッド様にお仕えするために……その……夜の女性たちから選抜されたとかで……十名ほど……」

 ……ブロイさん……

「まずは、フランスからのコンパニオン候補さんを呼んできてください……」

 マッケンジー夫人が、フランスの方を連れてきました。
 レティシア・ボナパルトさんは、優しそうな美少女。

 くりっとした可愛らしい瞳……
 ボナパルト家って、もっときつい顔をしていると思っていたのですが、優美で華奢な娘さんです……
 こんな方を抱くの?

 ルイーズ・ドルレアンさんも、優しそうな雰囲気を漂わせていますが、金髪でスタイル抜群、なにかしらセクシーで、とことん無茶苦茶にしたくなりそうな……

「初めてお目にかかります、すべて理解の上です」
 綺麗なフランス語で、二人はしゃべりました。
「できましたら、お仕えする方の素顔をお見せくださいませんか?」

 私は喪服を着ていて、ベールをつけていましたからね。

「私の醜い顔を見て、失望されるでしょうから、その前に、コンパニオンを辞退しても良いですよ」
「幾度も云いますが、覚悟はできています」

「私たちはアリアンロッド様だけの愛人、夜の睦事では、どのような恥ずかしい事でもいたします」
 ルイーズ・ドルレアンさんは云ってのけました。

 やれやれ、ブロイ公爵、何といって、この二人に因果を言い含めたのか……

 そこへメイドさんがやってきて、マッケンジー夫人に何事か云っています。

「ただいま、アメリカより、コンパニオン候補の方がいらっしゃいました」
 やはりね……
「ここへお通ししなさい」

 アリソン・ベル嬢、典型的なサザン・ベル、つまり南部美人、南部のお嬢様です。
 出るところは出て、くびれるところはくびれている……
 目鼻立ちもはっきりとして、どこか挑発的な所があります。

「グラント大統領と、アメリカ議会からの親書です」
 ポンと親書を二通取り出すところは、アメリカ娘なのでしょうか?

 グラント大統領の親書には、アラスカの件、ブラックウィドゥ・スチーム・モービル社のアメリカへの貢献に対する感謝が延べられ、コンパニオン候補の派遣、マーブル・ヒル・レディス・カレッジ入学希望者十五名の受け入れが、要望として書かれていました。

 アメリカ議会からの親書には、次のように書かれていました。

 もしご希望なら、アメリカはブラックウィドゥ・スチーム・モービル社のために、マサチューセッツ州のナンタケット島を、婦人特別自治区として提供すると、書いてあります。

 そこにレディス・カレッジを設立しては、とも書いてあります。
 さらにはっきりと、こうも書いてありました。
 特別自治区において、どのような内政にも、一切合衆国は関知しない。

 なかに、アメリカ上院議長からの、秘密の書簡も入っていました。
 もし婦人の自由を制限されることを、当の本人がどのような理由でも承諾し、その証書があれば、婦人特別自治区においてはこれを認める、これは選択の自由である……

「……」
 言葉がありません……ため息が出ます……また、ハレムですか……

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