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第四章 国家の機密
バロネス・アリアンロッド・エンジェル
しおりを挟む「確認できましたか?」
「確かに……屋敷は購入することになりました、代金は支払い済みです、そう女王陛下がおっしゃっています」
「それはいけませんね、私たちが住むところです、とにかく支払います」
「どうしてもなら、お世話くださる使用人の給料を、そちらでお願いいたします」
「クリスティンさん、手伝ってください」
「お二人とも、このようなもので良ければ、食べていてください」
「リンダさん、教えてあげてくださる?」
別室に行き、大量の金地金を出しました。
おやおや、出しすぎましたかね……
「ご主人さま……こんなに……」
「残ったものは、あとで当地の金貨にかえてもらいましょう」
必要な資金の倍はありますね……
運ぶの重いわ……
ドンと出しましたが……
「こんなに……は……」
「ギニー――イギリスのかつての通貨単位、1ポンド1シリング、この1シリングは心づけの意味がある――として、とってくださいな」
あくまで、上から目線で対応いたしましょうね……なんせ、檻の代金ですからね。
「それでも余りますが……それは受け取るわけにはいきません」
「では当地の金貨にかえていただけますか?勿論手数料を引いてくれて結構ですから」
「……分かりました……」
多分、悔しいでしょうね……どこの馬の骨ともわからぬ女に金で……上から目線で、物を言われるのですから……
まぁ当初、私を排除したいと考えたようですので……
正直、暴発してくれれば、簡単なのに……
クリスティンさんをお持ち帰りして、リンダさんだけを守ればよい話……
「このマッケンジー夫人が、屋敷まで案内いたします」
と、マーガレットさんが云います。
「私も一緒に行きたい!レディ・アリアンロッド、よろしいでしょう?」
リンダさんに聞かれましたので、口を開こうとすると、マッケンジー夫人が、
「アリアンロッド・エンジェル様とおっしゃいます」
「レディ・エンジェル、これからはバロネス・アリアンロッド・エンジェルと呼ばれるはずです」
と、マーガレットさんがいいました。
どうやら私はバロネス、女男爵になったようです。
マーブル・ヒル・ハウス……それはそれは綺麗な、白亜のお屋敷でした。
パラディオ式の建物で、広大な敷地の中にポツンとそれは建っていました。
「確かに軟禁するにはもってこいですね」
「レディ・アリアンロッド!マーガレット様に失礼でしょう」
マッケンジー夫人が憤慨しました。
「いいのですよ、その通りですから……レディ・アリアンロッド……本心をおっしゃいませんか?」
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