惑星エラム 幻のカタカムナ 第三部 嘆きの女神編【ノーマル版】

第四十八章 悲嘆のエネルギー

アスラの二人

「ねぇ、アナーヒター、聞きなさい」
「アスラは私一人、デーヴァも貴女がいうブラフマー一人、ラグナロクで古き世界とともに消えるのは私で十分、貴女は新しきアスラ、そしてデーヴァ」

「新しい世界は貴女のものなのよ、どうやら責任を感じているようだけど、ブラフマーと心中など、このイシスが許さないわよ、その前に、私がかたを付けてあげる」

「姉さん……そうですよね、幼き頃誓ったものですよね、二人一緒に手をつないで帰ろうと……」
「いつまでも二人、手をつないで何処までも行きましょう」

「新しい世界であろうと、三途の川の向こうであろうともね」
「アスラの二人は輪廻に逆らい、いつまでも共にありましょう」

　死力を尽くして、この姉と、世界を時の彼方へ導きましょう……
　女々しい私は、やっと踏ん切りがつきました。

　なんとしても、しぶとく戦う。
　ディディア・クララが云ったではありませんか。
　『勝者は常に卑怯者、勝ち残る為にはなんでもすべきです』、と。

「さて、なんか憑き物が落ちた気がします、スッキリしました、仕事をしますかね」
「サリーに頼んで、一週間の休暇を取れるように手配してもらった、一週間休みなさい」

「確かに身体の疲労感はまだ残っていますし……ここは甘えて休暇を抱こうかしら」
「そうしなさい、サリーを呼んでくる」

　サリーさんが来ました。
「休暇をありがとう、できましたらエラムで過ごしたい」
「『亡霊の館』がいいけど、静養したいので、『ご座所』ではいけないかしら？」

「あそこなら誰彼こないでしょう、そのように手配いたします」
「門灯が輝くから、内緒とはいかないですけどね」
「サリーさんは毎日きてね、一日は二人でキャンプなどしましょう」

「それからローマの世界の事、いろいろありますが、何とか善処してください」
「そのことは大丈夫です、マレーネさんが位置を特定し、天照大神(あまてらす)さんが転移されています」
　
　休暇中、あの海兵隊長との約束を果たしました。
　ヒルダさんは子供の事を知っており、蔭ながら援助していたそうです。

　私は海兵隊長の勇戦を覚えており、一世紀もたったのでその罪を許し、その勇戦を称え、子孫に年金を与える。
　そう発表しました。
　エラムでの三つの戦いははるか昔の話、当時を知っている者は、ほとんどいないのですからね。

　時は全てを消し去っていく……これを否定はしないのですが、私は時に対して、戦いを決意しているのです。
　因果律などだれが決めたのか、内心はそのように思っているのです。