上 下
104 / 113
第四十八章 悲嘆のエネルギー

ローマ・レムリア帝国

しおりを挟む

 一月後のある日、私はフォロロマーナに浮かびあがりました。
 多くのローマ市民は今こそ、私、ウェヌスの祝福の元にあると確信したようです。
 
 四人の男が私に向かって跪きました。

「マルクス・ディディウス・セウェルス・ユリアヌス、西のカエサルとしてヒスパニア、アフリカ方面を統治しなさい」

「ルキウス・カルプルニウス・ピソ・カエソニヌス、東のカエサルとしてアエギュプトゥス方面を統治しなさい」

「デキムス・クロディウス・アルビヌス、西のアウグストゥスとしてガリア、ブリタニカを統治しなさい」

「ガイウス・ペスケンニウス・ニゲル、東のアウグストゥスとしてシリア、アシア方面を統治しなさい、さらにプリンケプスとしてイタリア本土も任せます」

 こうしてテトラルキア、四帝統治体制が成立しました。
 
 イタリア本土は、このウェヌス教団領として、ローマ帝国のプリンケプスが統治することになりました。
 ここを統治する者が、四帝の中での覇者という事です。

 プリンケプスは、ウェヌス教団の承認が必要となっています。
 そして四帝のなかで、その優位性をみとめられるのです。
 正式にローマ皇帝とは、プリンケプスをさすことになります。
 
 私は人々に向かって語り掛けました。
「ローマ市民は私の腕の中にある、良きローマ市民には私の祝福があろう」

「良きローマの男には、その勇武の力を後押ししよう」
「良きローマの女には、その貞淑を愛でよう」
「私を信じるならばローマを私は愛そう」

 すごい歓声が聞こえました。

 その後、各地の代表が、私がいる観覧席の前で挨拶をしてくれ、捧げ物を献上してくれました。
 もっともウェヌス教団に、直接献上品を出せるのは四つのローマ帝国と二つの王国、つまりヌビアのメロエ王国とエチオピアのアクムス王国だけですけどね。

 寝室頭のルキナさんがとても忙しそうにしています。
 ここでも献上品とは、美しい女奴隷さんのことなのですよ……
 サリーさんに、なんて言い訳すればいいのか……

 挨拶もひと段落、休憩にはいります、私は隣のプリンケプスに声をかけました。

「この世界の名を決めなくてはね、何といたしますか?」
「エラムとしたい、女神ウェヌスはメソポタミアの出自と聞く、私はそれを称えたい」
 プリンケプス、東のアウグストゥス、ガイウス・ペスケンニウス・ニゲルが答えた。

 エラム……どうしてこの名……

「私は女神ウェヌスの啓示で、軍団はセプティミウス・セウェルスを撃破できた」
「その女神はメソポタミアの出自、はるかな昔に栄えたといわれる、メソポタミアの伝説の国家の名を継承し、女神ウェヌスを称えようと思う、当然の事だ」

 ……エラム……私の故郷……惑星エラム……

「女神に感謝を込めて、ウェヌス教団を国家の母、婦人を守る教団として、娘が二人以上生まれれば、必ず一人を巫女とする」
「女神は数々の名をお持ちだが、その黒髪をたたえ、黒の女神と称えたい……」

 ……黒の女神……

「女神イシスは私の姉……私は一つ位を下げたい……黒の女神はイシスの事……その黒の女神の頼みにより私はローマを救うために降臨した……」

 私は何を口走っているの……

「私は黒の巫女と名乗りましょう……それゆえ……ウェヌス教団では名前に矛盾がある……貴方は教団名を、なんと名づければ良いと考えますか?」

 返事は分かっているのですが……聞かずにはおれなかったのです。

 新しい皇帝は少し考えて、
「尊く犯すべからず何物にも代えがたい……神聖教……これがよろしいかと考えます」

 惑星エラムに神聖教……

 さらに皇帝はフォロロマーナに集まったローマ市民に向かって、

「ローマの建国神話はレムノスより始まった、数百年を経てローマは神に見捨てられかけていた」
「今、黒の巫女様のご降臨を賜り、ローマは新しい時代に入った」
「我らはそれを記念して、自らをレムリアと呼ぶ事にする、栄光あるローマはレムリアとなり、再び長き年月、栄えよう……黒の女神様と黒の巫女様のご加護のもとに!」

 ローマ・レムリア帝国が成立し、世界の事はエラムと呼ばれるようになり、そして神聖教が成立しました。
 そういえばこの星は、惑星エラムと良く似ているのです。

 私はついに一旦戻ることしました。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡な令嬢、マリールイスの婚約の行方

青波鳩子
恋愛
平凡を自認する伯爵令嬢マリールイスは、格上の公爵家嫡男レイフ・オークランスから『一目惚れをした』と婚約を申し込まれる。 困惑するマリールイスと伯爵家の家族たちは、家族会議を経て『公爵家からの婚約の申し込みは断れない』と受けることを決めた。 そんな中、レイフの友人の婚約パーティに招かれたマリールイスは、レイフから贈られたドレスを身に着けレイフと共に参加する。 挨拶後、マリールイスをしばらく放置していたレイフに「マリールイスはご一緒ではありませんか?」と声を掛けたのは、マリールイスの兄だった。 *荒唐無稽の世界観で書いた話ですので、そのようにお読みいただければと思います。 *他のサイトでも公開しています。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」 目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。 この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。 だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。 だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。 そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。 人気ランキング2位に載っていました。 hotランキング1位に載っていました。 ありがとうございます。

(完結)獅子姫の婿殿

七辻ゆゆ
ファンタジー
ドラゴンのいる辺境グランノットに、王と踊り子の間に生まれた王子リエレは婿としてやってきた。 歓迎されるはずもないと思っていたが、獅子姫ヴェネッダは大変に好意的、素直、あけっぴろげ、それはそれで思惑のあるリエレは困ってしまう。 「初めまして、婿殿。……うん? いや、ちょっと待って。話には聞いていたがとんでもなく美形だな」 「……お初にお目にかかる」  唖然としていたリエレがどうにか挨拶すると、彼女は大きく口を開いて笑った。 「皆、見てくれ! 私の夫はなんと美しいのだろう!」

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...