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第四十五章 五皇帝の年 歴史を作る

セウェルス猛攻 其の一

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「ニゲルめ、やりよるわ、全軍渡河出来たか?」
「後はガリアの軍団だけです、約10個軍団は渡河しています」

「よし、攻勢に出るぞ!」
「総督、全軍が渡河してからの方が」
「その暇はない、このままではヒスパニア軍団が疲弊してしまう」
「ガリアの軍団は戦略予備として、後から来るように伝えよ、勝つなら今だ!」

「セウェルスが攻勢に出ました!」
「全軍渡河したというのか!」
 ニゲルは意外だった。
 常識では全軍渡河して数的優位の上で決戦にでる、それをセウェルスは無視している。

「いまがチャンスとよんだのだ、それでこそセウェルス、こちらも全力で迎え撃つぞ!」
「ニゲル総督、セウェルスが全軍でかかってきています、陣形を無視し、乱戦に持ち込んでいます」

「くそっ!『継母(ままはは)の毒』を避けたのだな、これではこちらが不利だが、当初の予定通り、敵は渡河してきて疲労しているはず、よし、答えてやる!」
 その頃、ユリアヌスの軍船が遡上してきて、ディムヤート川を遮断します。

「ユリアヌスの海軍が、ディムヤート川を遮断しました!」
「味方はどれくらい渡河したか!」
「ガリアの軍団が2個ほど取り残されています!」
「よし、渡河した軍は至急こちらに合流せよ、敵はどこかに青い布を巻いていると伝えよ!」

「プラウティヌスよ、敵の切り札はこれだったのだ、しかし味方は12個軍団、敵は8個軍団、勝てるぞ!」

「カエキリア様、セウェルス主力が渡河した時点で、大攻勢をかけてきました、ニゲル総督が劣勢です」
「しかもユリアヌスの海軍が、2個のガリア軍団の渡河を許してしまいました」

「すぐにユリアヌスの軍船に乗船しなさい、ここまで来ているのでしょう、残りのガリアの二個軍団なら、新たにやってきた援軍で、何とか出来るでしょう」
「ウォルムニアさんは背後から、『継母(ままはは)の毒』をプレゼントしなさい」

 私は側に控えているアキリアさんに命じました。
「『修女』アキリア!サルマタイ婦人騎兵隊とともに、私についてきなさい!」
 
「女神様……なぜここにおられるのですか……」
 背後で声がしましたので振り向くと、アフリカ属州教区長のディディア・クララさんです。

「クララさん、話は後です、すぐにここにいる『修女』ウォルムニア率いる、アンティオケイア教区警護係の一団を乗船させなさい」

「セウェルスの背後に上陸させなさい、てはず通りに援軍は来ているのでしょう!」
「はい、ご指示のとおりに」

「少し手違いがおこっていますので、軍を二分して、なんとしても背後から決戦に間に合わせるように、要請してください、あの者なら戦機は分かるはず!」

「サルマタイ婦人騎兵隊よ!いまからさらに南進する、味方と会合し、それに所属する騎兵を率いて決戦に参加する!」
 私はすぐそばに来ているはずの、味方のもとに走りました。

 とにかく一刻の猶予もありません、私の手配した援軍がまに会うまでに、ニゲルの軍が壊滅してしまえば、それで終わってしまいます。

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