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第三十六章 招待状

阿修羅の世界は許されない世界

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 その世界は許されない世界である。
 何とも軟弱で、ひ弱い……

 その世界の住人は、愚かな社会を構築している……
 繁栄と自ら称しているが、この社会は退廃している……

 欲望にまみれ、エネルギーを浪費する……
 エネルギーを生産することもなく、ただただ遊んでいるだけだ。

 そもそもエネルギーは、生産回収しなければならない、でなければ枯渇する。
 星々のエネルギーなど、こんなものに頼っていては、いつかどこかでビッグリップ――宇宙の終末の一つの仮説、宇宙は膨張を続け、最後は原子までバラバラになり、終わりを迎える――を迎える……

 たとえビッグリップでなくとも、物質は必ず消滅する……
 『時』が許容しないからだ……

 『時』さえ自由にできれば……
 我らは望み、そして可能にした。 

 『デーヴァローカ』が実現する……
 下層世界がエネルギーを発生させ。
 巡る『輪廻』という時が、それを無限に再生産する。
 それが可能となった……
 
 いま、その下層世界が、奴らのおかげで危機に瀕している……
 理想の世界を、護り育てなければならぬ。

 六階層にわかれ、それぞれが下層世界のエネルギーを管理している……
 守るものは『インドラ』……そして三十二の諸天……

 これは危機なのである。
 この世界は守られているのだが、奴らは踏み込む力があるだろう……
 
 無智な阿修羅どもめ……
 修羅の世界に居ればいいものを、この天上の世界にしゃしゃり出てくるとは、身の程知らぬのか…… 

 中でも阿修羅のメスどもめ……

 阿修羅のオスの中には、我らに近いものが存在した……
 偉大なる、我らデーヴァに進化できる可能性があった……ゆえに力を貸してやったのだが……
 やはり我らとは違う……所詮は幼い……

 互いに殺し合い、出来ればこの者共を使役し、修羅世界のデーヴィーを支配下に置ければよかったのだが……
 阿修羅どもの世界なら、極上のエネルギーが発生しただろうに……

 まぁ、いいか……阿修羅のオスの幽子は役に立つ。
 擬似化デーヴァとして、我らのしもべ……
 
 この『デーヴァローカ』に供給される、下層世界のエネルギーは有り余っている……

 回転する宇宙、そして時を繰り返す宇宙、選りすぐりのデーヴィーと、我らに似せた擬似化デーヴァが住む……
 見事な調和だ……至福の世界ではないか……
 
 時々、生体を追加したりして、エネルギーの色を変えたりしている……
 しかし鏡界に備蓄していたデーヴィーの幽子が、阿修羅に消滅させられてしまったのは痛かった……

 あやつら、といっても阿修羅の指導者なのだが……
 あれにそのような力があるとは……

 あの阿修羅のデーヴィーは脅威ではあるが……本質は我らと同じ、デーヴァの素質がある。
 
 下層世界の再構築は面倒だが、デーヴィーや擬似化デーヴァの人格メモリーは記録されている……
 不可能ではない……時々下層の色を変えるために使用しているからな……

 しかし、いつまでも放置するわけにはいかぬな。
  『デーヴァローカ』を預かる、このインドラとしても。

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