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第三十六章 フィン連合王国の要求
05 ハイドリッヒ王
しおりを挟むハイドリッヒがやってきました。
驚いたことに、本当にフィン連合王国の全軍を率いてきました。
あまりまとまりのないフィン連合王国を、全軍率いてくるなど、かつてないことです。
いつもなら、二つや三つの王国が不参加なはずです。
よくまとめてきた物です、すこしハイドリッヒ王を見直しました。
一緒にイシュタル突撃隊、野戦警察、ジャバ王国海軍陸戦隊も行動を共にしています。
そこへリューリックが、再建したアムリア帝国騎士団を率いてやってきました。
フィン連合王国の八つの王国から八つの軍団二十四万人、教団領から神聖守護騎士団三万、イシュタル突撃隊三万、野戦警察五千、ロマノフ名誉騎士団五千、ジャバ王国海軍陸戦隊一万、アムリア帝国騎士団の三万の計三十五万、精鋭ぞろいです。
一般兵士の部隊は後備として都市防衛に残しておきました。敵は第一、第二、第四、第五、海兵隊の一万、そして北方列島に残っていた、最後の第六軍団、第七軍団も渡海した模様で、計三十七万、こちらも精鋭ぞろいです。
三十五万の大軍勢は、シビルの郊外に天幕を張り、各々野営をしています。
そのど真ん中で、私はハイドリッヒと再会しました。
「わざわざお越しいただいて感謝しております、再びお会いできるとは思いませんでした、御子息はお元気ですか?」
「お出迎え、ありがとうございます、息子は元気過ぎて困りものです。」
「連れて行けとうるさかったのですが、今回は私といえ、生きて帰れるか保障の限りではありません、留守番を命じておきました。」
「さて、返書はお読みくださいましたね、こちらへどうぞ。」
と私は覚悟を決めて、ハイドリッヒの手を取り、壇上に二人で上がりました。
「ここに集まったエラムの戦士たちよ、私ヴィーナスはハイドリッヒを私の守護者、エラムの騎士に任ずる、ここにその証拠として祝福を授ける。」
ハイドリッヒは私を抱きしめ、口付けをしました、しかも舌を入れられました。
「このスケベめ!」と小さく毒づくと、「まだまだ」とほざきます。
ハイドリッヒは衆人環視の中で、私のお尻と胸を、飽きるまで触りまくってくれました、大事な所まで……
こんな人の見つめる中でも感じてしまいました。
くそー、いつか殴ってくれる。
戦いが終わったら、覚えてらっしゃい……
「諸君、黒の巫女様はこのエラムの主君であられる、このエラムを愛し諸君を愛し、我らの妻や子供を愛されている。」
「麗しき女神様の代理でもあられ、戦は望まれない方でもある。」
「その巫女様が、犠牲を顧みず自らも剣をとり、血を流し戦っておられるのは、この戦いが我らの明日を決めるからである。」
「負ければ我らに明日はない、諸君の中には、知らない者もいるだろうから言っておくが、敵は我らの絶滅を意図している。」
「この決戦に敗れれば、朝日は我らに昇らないといえる。」
「ゆえに巫女様は、御自ら血刀を振っておられるのだ。」
「諸君、私は諸君の誇りに訴える、我らのために、これほどの美しい方が、泥にまみえる覚悟を固めておられる。」
「それは先程の私の無礼を、黙って我慢されたことでわかるだろう、諸君は見ていたはずだ。」
「誇り高いエラムの騎士たちよ、いまこそ名誉ある死に場所ぞ、黒の巫女様の旗の下、屍をさらすことこそ誉である。」
「巫女様は生きて帰れと云われるだろうが、私はあえていう、死んで名誉を残せと。」
ハイドリッヒの激に三十五万の兵士が答えます。
地響きのような歓声が聞こえます。
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