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第三十五章 ロマニア戦線
05 初陣
しおりを挟む私たちは強行軍でロマニアの王城まで、一日半でたどり着き陣を構えました。
しばらくすると王城の門が開き、敵が出てきます、突撃体制をとりました。
「きますよ、野戦警察の諸君、力を示せ!」
私にこんな大声が出せるとは思いませんでした。
敵が突撃してきますので、私たちは中央を開けました。
半分ほどやり過ごした後、敵の脇腹を槍隊で両側から突撃、分断しました。
そのまま槍隊は、正面側に槍ぶすまを作り、突破した背後の部隊には、弓隊で集中して矢を浴びせました。
背後の部隊は反転して、再度来た道を強行突破しようとしましたので、また道を開きますと、敵は決死の覚悟で突撃してきます。
そのまま通して、脱出した敵に弓を一斉に浴びませした。
私たちと敵は、これでにらみ合いの状況になりました。
私たちはこのままジリジリと横に移動します、敵はそのまま同じように移動します。
いつのまにか私たちは、城を背にすることに成功しました。
先程の戦闘で敵を二千名ほど死傷させたはずですが、まだまだ敵は強大です。
しかし城を背にしたおかげで、我々は少なくとも背後を固められたことになります。
「城へはいりますか?」
とシャルルさんが聞きますが、
「それはできません、包囲されればいつか負けます。このまま機動的に戦闘しましょう。」
「兵の士気はどうですか?」
「旺盛です、イシュタル様の指揮のおかげです。」
「とにかく、このままにらみ合いを続けます、海軍バリスタ隊が到着したら、すぐに射撃を開始するはずです。」
「その時は全力で突撃します、よく見張っていてください。」
私たちは敵の眼前で夜営をしました。
負傷者は城へ運びこみました、敵も堂々と夜営しています。
私はそれを見て、
「夜襲があるかもしれません、準備しておいてください。とくに両端は厳戒態勢でいてください。」
と、命じておきました。
シャルルさんが、不思議そうな顔をしていますので、
「あのかがり火を見てください、皆同じように燃えています。」
「夜営するなら、食事を煮炊きするはずです。ならば鍋釜がぶら下がり、炎は一様にならないはず。」
「それに人がその前を歩くはず、あのように同じように燃えるなど、命令で燃やしているとしか思えません。」
「その様な命令は一つだけ、あのかがり火の両側の暗闇に、敵は終結しているはず。」
「それ以外なら前方を匍匐前進(ほふくぜんしん)するはず、その場合はかなり前でわかります。」
「でも複合して攻撃するかもしれませんね。」
それを聞くとシャルルさんが「前方を照らせ!」と叫びます。
いましたね。
「弓隊、前方を一斉射撃、槍隊は側面を防御。」
と私も大声で叫びます。
夜間の戦闘がはじまりましたが、敵は小当たりして引いていきました。
「敵もやりますね、もう今夜はこないでしょう。」
「私たちもすこし食事としましょう、といっても乾パンですが。」
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