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第三十五章 ロマニア戦線
03 下賜
しおりを挟む「リューリックさんというのですか、御自分の剣をどうぞ。」
私はリューリックさんの剣を、持ってこさせました。
「ではまいる。」
とリューリックさんは打ちかかってきます。
ロングソードですので、多分刃が合ったところを起点にしたいのでしょう。
この人はかなり強いし、小太刀よりロングソードは長い。
突きを多用していますが、私は見きっていますので、すれすれで剣は空を切っていきます。
勿論、蹴りも飛んできますが、私はオディッシーも身についているので、身体をねじるのは得意なのです。
そんなに時間をかけたくないので、一撃を交わした後に、ムエタイの回し蹴りを顎に一発決めて、続けて峰打ちで利き手の手首を撃ちました。
多分手首は折れたでしょう。
剣を取り落とした所へ、ローキックを膝へ入れました、これも骨折でしょう。
そして崩れ落ちたリューリックさんの首に、小太刀の刃をあてました。
終わりです。
と、フローラさんがドリスさんを振り切って、リューリックさんの身体に覆いかぶさり、小太刀の刃を握りました、血が流れます。
「フローラ、死にたいのですか?」
「どうぞ、一緒に切ってください、ともに死ねれば本望です。」
「殺すのはやめました、約束します。」
「とにかく手を放しなさい、このままでは指がなくなりますよ。」
おずおずとフローラさんは手を離しました。
「リューリック、貴方は私に負けました、認めますね。」
苦痛に顔をゆがめていますが、「認める」としっかり云いました。
「負けたら命をもらうといいました、私は貴方の騎士としての命をもらいます。」
「私に騎士としての命、名誉、つまり私に無私の忠誠を捧げてもらいます。」
リューリックさんは、
「約束は守る、私、リューリックはイシュタル様に忠誠を捧げる。」
「命ある限り、どのような命令もやり遂げます。」
動く方の手で剣を持ち私に捧げた。
私は治療のイメージで、リューリックとフローラを治療しました。
骨折は単純骨折でしたから簡単です。
「リューリック、太刀筋からして貴方はピエールさんとよく似ています。」
「私はピエールさんの試合を、見たことがあるのでわかるのです、貴方、アムリア帝国の騎士ですね。」
「おおせの通り。」
「リューリック、貴方は私に忠誠を誓った。」
「主としては臣下に、私の女を下賜したいと考えますが、よろしいですね。」
「念押ししますが、フローラは私に抱かれています、それでもフローラが欲しいのですか?」
「かまいません、フローラにとっても、イシュタル様に抱かれるのは不名誉ではありません。」
「自分の妻が、黒の巫女様に抱かれるのは名誉なことです。」
「フローラ、私は貴女と夜の相性が悪いので、リューリックに下げ渡します。」
「リューリックに愛してもらいなさい。」
残りのホラズム王族さんたちからも、祝福が寄せられました。
リューリックはその方面では強そうですから、フローラを満足させられるでしょう。
「ところでリューリック、フローラ一人でいいのですか、後、二三人どう。」
「ホラズム王族の皆さん、よい機会ですので、申し渡しておきます。」
「皆さんの奴隷身分は解放いたします。」
「その後の扱いは、前ジャバ国王の妻妾さんたちの扱いと同じとします。」
「希望するなら皆さんには、このコナの町のジャバ王国の離宮で働いてもらいます。」
「詳しくはドリスさんに聞いてください。」
「さてシャルルさん、リューリックさんの正体を知っているようですが、教えてくれますか。」
「そのリューリックは、元アムリア帝国騎士団総長です。」
でしょうね、
「リューリック、最初の仕事をしてもらいましょうか、ハネムーンはアムリアです。」
「帝国騎士団を私のために再建してください、希望者だけでいいですよ。」
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