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第三十四章 占領下のホラズム

06 アテネさんの活躍

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 長い相談結果をトール隊長に伝えて、夜になっていたので、私とアテネさんで、いよいよ悪さをすることにしましょう。

「ミレーヌさん、そのシャルルさんを助けて、その方に貴女の手紙を渡せばよいのですね。」
「で、どこだと思いますか、その監禁されている場所は?」

「多分、内務卿の官邸の地下だと思います、できればシャルルの指示の者も、解放していただければ。」
「善処します、ではアテネさん、いきましょうか。」
 私たちはリリータウン経由で、内務卿官邸の地下へ転移しました。

「消えてしまわれた。」
 とミレーヌさんがいうとトール隊長が、
「貴女もキリーへ転移したことがあるのでしょう。このぐらいで驚いていては、この先、持ちませんよ。」
 と声をかけました。

 その頃、内務卿官邸では盗賊が乱入しました。

 アテネさんが小太刀を引き抜いて、気絶した人間の山を築いています、峰打ちですよ。
「何者か!」と云うので、私が「強盗です、お宝奪取に参上」と言っときました。

 見事ですね、アテネさんは。
 アテネさんの戦う姿は、本当に名前の通りです。
 白い肌がほんのり赤く染まっていきます。
 舞いを舞っているように、優雅にさえも見えます。
 戦舞というのでしょうか、さすがは私のアテネさん。

「シャルルさん、どこですか!」
「ここだ、だれだ、あんた達は?」
「ジャバ王国の雇われ人、手紙を預かってきました。」

 アテネさんが「この鍵が開きません」と云います。
「私がやりましょう、シャルルさん、すこし下がっていてください、怪我をしますよ。」
 電撃で一発でした。

「シャルルさん、出て来てください。」
「ところで後、だれを助けだせば良いのですか。」

 少し蒼い顔のシャルルさんが、あれこれと指示してくれましたので、鉄格子をぶち壊しながら助け出していると、どんどんと警備部隊が集まってきました。

「おのれ!」
 アテネさんが通路を一人で守ってくれています、本当に美しい。
 さて全員助けだしたので逃げますか。

「アテネさん、外へ出ましょう。少し引きなさい。」
 と言うと、アテネさんは私の後ろまで戻ってきました。
 相手はかかってきません。

 私は電撃を最弱にして範囲を前方に固定し、「サンダーイン」ととなえました。
 青白い稲妻が前方へ波のように走ります。
 一斉に警備の人は感電して気絶状態です。

 一階に出ると出口が閉まっています、だれかが出口に、かんぬきをかけたみたいです。
「さてアテネさん、はでにいきますか?」
「はい、イシュタル様、私がしんがりをいたしましょう。」
「それなら私が露払いをいたしましょう。」

 私たちは笑いましたが、電撃杖を手にすると、アテネさんが脱走犯の後ろにつきました。
 もっとも私は、さらに後ろに障壁を張りましたから、アテネさんが血刀を振ることはあり得ませんが。

 こんどは遠慮なしです。
「ストロング・サンダーイン!」

 夜のジャイアールに、幾度となく雷鳴がとどろきました。
 そして内務卿の官舎は破壊され、脱走犯の逃げた後は、焼け焦げていたということです。
 しかも城門は雷の直撃を受けて、崩れ落ちてしまいました。

「シャルル、あれはだれだったのか?」
「多分、ジャバ王国女王である黒の巫女様と、その愛人の一人と思う。」

「ミレーヌ様を購入した?」
「いずれわかるさ、我らはコナに向かう。」
 どうやら自力で逃げ出すつもりのようです。

「アテネさん、かっこよかったですね。」
 私たちは何事もなく、帰ってきました。
 トール隊長が、
「また派手にしましたね。」
 ミレーヌさんが、泣きそうな顔で待っていました。

 南ホラズム王宮では、再建の資金捻出のために、スズ鉱山のある島の売却を決定したのです。
 不要になったメイピールの一族の婦女子とともに……

 この婦女子売却の話は、私には関係ありませんからね。
 私に責任を取らせないようにお願いしますよ。
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