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第三十三章 日和見のホラズム王国
07 コナ譲渡の顛末
しおりを挟むアナスタシアさんが二人から、経緯を聞いてきてくれました。
「イシュタル様、少しお願いがあります、あの二人はアムリアの大公の妻妾、特に妻の方は妊娠しています。」
「つまりアムリア帝国の帝位継承権をもっています、できましたら妻のほうだけでも、保護したいのですが。」
「保護には反対しません、むしろ私が保護いたします。しかしアムリア復興はたしかに約束しましたが、だれがとは約束はしていません。」
「もっとあの妻と話をしてから、そのことは考えます、いいですか。」
「それで結構です、差し出がましいことを申しました。」
「いいのですよ、私は内心、メイピールは生かしておけないと判断しました。」
「彼女たちへの仕打ちには、殺意が湧きあがってしかたないのです。」
「アナスタシアさんにはいっておきますが、あの二人は狂う寸前でした、身体が薬でボロボロでした。」
「薬の後遺症が残るでしょう、もしひどく残るようなら、私の手で記憶を一部消去するしかありません。」
「イシュタル様……」
「二人の名前は?」
「妻のほうがクリスティーナ、側室はマーシャ、二人とも私は知っています。」
「しかし御懸念にはおよびません、二人とも芯が強いですから。」
「そうあることを願っています。」
「懸念はもう一つあります、ミレーヌ王女も同じ状態ではないかと……」
「明日ここへ到着します、その時、手伝ってください。」
メイピールはそこまで来ているのに、勿体をつけています。
当日、同じ使者が再びやってきました、私はポーカーフェイスです。
「昨日は大変よい贈り物を戴きまして、一日贈り物で楽しく遊びました。」
「今日は両国の友好の日、ここにミレーヌ王女がいないようですが?」
「昨日と同じく、イシュタル女王陛下にお喜びいただくようにと、国王陛下はおっしゃっておられました。」
「ミレーヌ王女はお部屋へ、もうお伺いしていることでしょう。」
「国王陛下はイシュタル女王陛下に、今後もよしなにとのお言葉でした。」
「それは嬉しい、では早くミレーヌ王女に会いたいので、ここで失礼いたします。アポロさん、後は任せました。」
私はすぐに部屋へ戻りました、部屋の前に大きな袋がありました。
すぐに部屋へ引きずりいれて中を開くと、一人の女性がさるぐつわと、目隠しと手かせ足かせされて悶えていました。
「ミレーヌ王女ですね、イシュタルです、すぐに楽にしてあげますよ。」
すぐにさるぐつわと目隠しをはずし、手かせ足かせも外せましたが、ミレーヌ王女は半狂乱です。
まえの二人よりも、倍は盛られています……
「狂う、狂ってしまう、何とかして!」
絶叫しています。
私は風呂に引きずっていき、とにかく全身を洗うというより高圧洗浄です。
身体の中まで洗うつもりで、お湯をぶっかけました。
とても苦労しましたが、やっと落ち着かせました。
私はこのミレーヌ王女を知っています。
私はベッドにミレーヌ王女を寝かして、アナスタシアさんを呼び、
「アナスタシアさん、貴方なら王族の扱いを知っているでしょう、恥ずかしくないようにしてあげてください。」
「この人は私の知り合いです、頼みました。」
私は何食わぬ顔で、アポロさんとホラズム王国との、コナ譲渡の批准式に戻りました。
使者が、「もうよいのですか?」と聞きます。
お腹が煮えくりかえりますが、素知らぬ顔で、
「いただきました、よく私の趣味をご存知ですね。」
と返事をしておきました。
こうも言っておきました。
「もし壊れてもこの批准は有効ですと、国王陛下にお伝えください。」
使者はなにか笑ったようですが、すぐに厳粛な顔をしました。
こうしてコナの港は、正式にジャバ王国の領土となりました。
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