惑星エラム 第三部 動乱編【ノーマル版】

第三十二章 教団領奮戦中

０８ ナイチンゲール看護婦人会

　出動する時は、日赤の戦時救護班の標準編成をそのまま利用しました。
　婦長１名に看護婦２０名、書記１名で１班を構成します。

　ナイチンゲール看護婦人会を総動員したら、約百班は編成できますが、やはり三交代が必要になりますので、常時三十班が町や村に出動しているのが現状です。

　私はこの女官さんたちの購入代金を、皆さんの給料から返金できる制度を作っています。
　平時なら１０年はかかりますが、ナイチンゲール看護婦人会の戦時出動に出ると、５割ほど返金額に加算されることにしています。

　ナイチンゲール看護婦人会は、女官であれば十八歳から入会できます。
　その後、給料から天引きされ、二十八歳で奴隷身分から解放される計算です。
　戦時出動するとたぶん二十四、五で解放されるでしょう。

　いまは望んでいる方はいないようですが、女は恋に生きる生き物、きっと良き夫を見つけて幸せになる方が出てくると考えています。
　もっとも私の寵愛を受けると別ですが……

　このことは麗しの女騎士団と奉仕の魔女団、その他の部署でも同じことです。
　ただ、この戦時出動する三つの部署は、戦時加算があるということです。

　付け加えると全ての女官さん、つまり購入された方は、私が全てのことに対して、自由にすることができることになっています。
　つまり殺すことも自由という恐ろしい権限です。

　班長は美人の地位が与えられます。
　いまは特例として選抜任命していますが、おいおい奴隷身分から、解放された方の中から任命するつもりです。

　もしなにか特別な功績をあげたら、奴隷身分からは解放して、美人の地位を与えるつもりです。
　ちなみにアンリエッタさんは、佳人の指輪を持ち、美人の地位をもっています。

　オルガさんは佳人の指輪を持ちますが、美人の地位を持ちません、つまり一般の女官さんです。
　女官・美人・佳人の順番は、運用上不都合があるので、美人は功績により得られる地位として、佳人とは切り離したのです。

　このような制度にしたおかげで、教団領の女官は志願者が殺到しています。
　なかには大陸諸国の貴族の娘さんなどもいます。
　一応どのような身分でも、購入されることを、理解していただいていてはいるのですが。

　この中央神殿の女官になって、美人の地位を手に入れて退官すれば、その後は嫁のもらい手には、困らないのは確実でしょうと、アンリエッタさんがいっていました。
　もし私の寵愛をうけ、佳人にでもなれば、さらに一族の名誉になるそうです。

　採用基準を聞いてみますと、容姿端麗と十四歳以下は絶対条件だそうです。
　これも、私の推薦や私自身が女性を購入したら別だそうです。

　アンリエッタさんが、
「この制度のおかげで、徐々に女官たちの意識が変わってきました。」
　と、嬉しそうに云ってくれたのは、私にとって嬉しい言葉でした。