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第二十九章 開戦決意

04 火薬はジャバ、装備は教団

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「ジャバ王国の私の部屋と、ここ亡霊の館の部屋は私の魔法でつながっています。」
「またシビルの私の御座所と、ここもつながっています。」

「これを通れるのは基本的には女性で、指輪以上を持ったものですが、特別にこの通路を通れる認証を発行しましょう。」
「認証は指輪と同じで、自分ともう一人を連れることが、できるようになります。」
「これを使用して、貴重物資の運搬や、人員の異動などを行えばどうですか。」

「勿論、メッセージなども取り扱うといたしましょう。」

「なるほど、しかしだれをそのメンバーにするのですか、だれでもとはいかないですよ。」
「そこなんです、最初、ミハエルさんの云うように、避難してきた私の教え子を考えたのですが、やはり極秘事項ですから、どうしたものかと思っています。」

「イシュタル様の教え子は、いまどこにいるのですか?」
 とアポロさんが聞くと、カルシュ公館長が、
「引率されてきた学園長と共に今、休憩されているはずです。」
 と答えます。

 私が、
「いまここでお願いするのは、気がひけるのですが、教え子さんたちは帰る場所がありません。」
「私はマリーさんに、亡霊の館の使用人として雇ってくれるように、お願いしているところです。」
「給料の半分なら、三十名の教え子さんは雇えると云ってくれています。」
「アポロ執政、よろしいでしょうか?」

 アポロさんが苦笑いしながら、
「4分の3でいいですよ、巫女様の我儘にはなれていますから、なんならその教え子さんたちを、購入いたしましょうか?」

「もうここまで女好きで有名になったのですから、三十名ばかり増えても、どうってことないでしょう。」
 酷いいわれようです。

「まぁしかし、その物資輸送の人員については、やはり女官から選ぶしかありませんね。」
 とダフネさんが云いました。

 私は閃きました。

「奉仕の魔女団の任務の一つとしましょう、いかがですか?」
「私には文句はありません、しかしアポロさん、どうですか?」
 とダフネさんが聞きますと、
「ジャバ王国としても文句はありません。」
 とアポロさんが答えました。

 これで決まりでしょう。

 するとダフネさんが、
「それから巫女様、キリーと大賢者の部屋にも、異空間倉庫を設定してください。」
「やはり御座所に入れるのは、いかがかと思いますので。」

「わかりました」と答えて、私は頭の中で源兵衛さんを呼びました。

 源兵衛さんが、
「マスター、また厄介な願いを思い浮かべますね、認証ですか……」
「カード式にしましょう、それを発行します。三十名分ですね、それが限界です、これ以上は増やせませんよ。」

「黒色火薬の製造は機密事項です、極秘裏に部隊を編成する必要があります。」
 と、ピエールさんが云います。

 トールさんも同意して、さらに
「彼らが秘密兵器とするように、我らも秘密兵器とするのです。」
「我らは彼らの秘密兵器の存在を知っているが、彼らは我らの秘密兵器を知らない。」
「これは作戦を立てる上で優位にたてる。」
 と云います。

 専門家のいうことです、素人の私は頷くしかありません。

 でも部隊編成には、私にも案があります。
「部隊のことなのですが、ビクトリアさんが指導していた、麗しき女騎士団を充てたいと思うのです。」

「皆さまも見た通り、ビクトリアさんはボウガンの扱いは超一流ですし、魔弾の取り扱いにもなれています。」
「そのビクトリアさんに、麗しき女騎士団を指導していただければ、最短で部隊の練度を上げることが可能でしょう。」

 アポロさんが、
「なるほどとはおもいますが、実戦用のボウガンを引くには、かなり腕力が必要でしょう。」
「女性には無理ではないでしょうか?」

「奥の手があります、コンパウンド(滑車)タイプを使用するのです。」
「これを使用すれば、女性の腕力でも扱えるでしょう。」

「イシュタル様の云うことです、その通りなのでしょうが、しかし見てみたいものですね。」
「明日、現物を見せましょう。しかし三日しか借りだせませんので、複製するならその間にお願いします。」

 ジジさんが、
「教団領、特にシビルには優秀な職人がそろっています、この点に関しては大陸一でしょう。」
「今日中に準備させますので、明日、皆さんが現物を見た後は、すぐにシビルへ持って行って複製を作ります。」

 ジジさん、そんなにあわてないの。
 火薬はジャバ、装備は教団領、わかっていますよ、バランスですね。

 その証拠にアポロさんは、なにも云わないでしょう?
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