惑星エラム 第三部 動乱編【ノーマル版】

第二十八章 アムリア帝国の崩壊

０７ キリー到着

「いゃー、本当にここまで来れました、目出度いことです、でも我々は臭いますね。」
「私たちはいいですが、女学生さんはかわいそうですね。」
　ジャバ公館長は、学園長相手にのんびりと語っています。

　一行はそれでも注意を怠らずに、街道をキリーへ向かって進みました。
　ここまでは、まだ戦火は届いていません。

　キリーの町へは、例のウミサソリキングが出没する地帯を、通り抜けなくてはなりません。
　遠くにキリーの町が見えていますが、知らずに通ればあの世行きは間違いない場所です。
　この危険地帯を、総勢三十名たらずの女学生を連れては通れません。

　学園長が「どうしましょう？」とジャバ公館長に聞くと、
「秘密の通信方法があるのです、今は青天の昼ですので鏡を使いましょう、ただし暗号は秘密ですがね。」

　まずジャバ公館長が鏡を使って、キリーに光を送りました。
　しばらくすると、キリーから同じような光の反射があり、それを受けて公館長はたしか七回の三回の……とか言いながら鏡の反射を続けています。

　するとキリーの町の城門が開き、鉄の金網の籠にものが出てきて、中に人がいて動かしているようです。
　足元にも金網が覆っていて、金網籠の内部両側に背丈ほど大きな無限軌道があり、人がその後ろで無限軌道をおしているのです。

　その金網は公館長一行へ向かってきました。

「さぁ、お迎えですよ、最初は女性のお客様たちからどうぞ。」

　金網は往復してキリー町へ全員を迎え入れました。

　シビルへアリスさんがやってきました。
「お姉さま、キリーへカルシュのジャバ王国公館長が避難して来ました。」

「お姉さまの教え子という、女学生三十名を引き連れたカルシュ学問の府、女子部の学園長も一緒です、いかがいたしますか？」

「皆さん、ご無事でしたか？」
「健康ですが苦労されたご様子、二月ほど風呂に入ってないとのことで、入浴されています。」
「この後、食事を取って寝てもらうと、マリーさんが言っていました。」
「わかりました、明日お会いしましょう。」

　私は麗しき女騎士団のエレン団長と、奉仕の魔女団とアグネス隊長を呼びました。

　二人はやってきましたが、
「アリス様、ご無沙汰いたしております。」
　と丁寧に挨拶したあと、私に向かって
「御用とのことですが？」と聞きました。

　……アリスさんは偉いのですね……少しばかり複雑……

「私は明日キリーに行きますが、貴女たちは指輪の効力を使って、部下の方々を一人ずつキリーの町まで連れて来てくれませんか、いい練習になると思いますから。」
「そして館の管理人のマリーさんへ明日、私がうかがうと伝えてください。」

　二人はかしこまって、退出していきました。
「さてアリスさん、貴女の本当の願いをかなえましょう。」
「とりあえずお風呂にしましょう、服を脱がしてあげましょうか？」