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第二十七章 強襲 サンダーボルト作戦
02 精強海兵隊
しおりを挟む左翼でアムリア帝国騎兵が果敢に突進しています。
海兵隊が作った、二重の防御柵にはばまれ、立ち往生している隙に、弓や槍で馬を殺戮、騎士を引きずり下ろしています。
海兵隊の一部が、柵に作られたゲートを開き、切り込みます。
帝国騎士隊と、壮絶な白兵戦を始めたのです。
「馬を下りた騎士など、我らの武勇に比べたら、なにほどのこともない。」
「退くな、皆殺しだ、一人として生きて返すな、殺した数が我らの勲章ぞ!」
海兵隊左翼指揮官のどなり声が響きます。
海兵隊は少数で帝国騎士隊を殲滅しているところへ、ボウガン隊第一中隊が駆けつけます。
それを見て海兵隊は、一時柵の内側まで撤退をはじめました。
帝国騎士隊は、海兵隊の戦力が枯渇しだしたのだと判断して、攻勢をかけます。
「敵は息切れしているぞ、帝国騎士の底力を見せる時だ!」
帝国騎士隊の隊長がどなっているその時、ボウガン隊は一斉に、天に向かってボウガンを放ちました。
矢は放物線を描いて、帝国騎士隊の上に落ちてきますが、その矢には秘密兵器である、爆裂弾が装着されていたのです。
左翼戦線に殺到していた、アムリア帝国騎士隊は壊滅しました。
報告を受けた海兵隊司令部の一部では、陣地を出て攻勢をかけようという者がいましたが、海兵隊長は戦線の死守を命じました。
再度、今度は帝国の歩兵の大集団が、また左翼に現れ、一斉突撃を決行して、白兵戦に持ちこんでいます。
ボウガン隊の応射で、かなりの損害を出しながらも、数に物をいわせているようで、海兵隊長は予備隊を全部投入します。
ボウガン隊を引き揚げさせ、二分して中央と右翼に配置して、自らは左翼に赴きます。
「隊長!」
「諸君、ここが底力の見せ場とおもえ!」
「海兵隊の勲章を増やそうぞ、敵の屍の山を築いてやろう。」
「野郎ども、俺に続け!」
その時、伝令が走って来て、
「アムリア軍の一部が、各戦線で総攻撃を開始しました。」
「中央と右翼の敵の数は!」
「それぞれ千人ほどと思われます。」
「中央のボウガン隊を、半分右翼へ援護にいかせろ!」
「中央はそれでもなんとか戦線を死守しろ!」
「右翼はボウガン隊の加勢を受けたら、敵を壊滅させて、敵後方から左翼戦線へ回り込め。」
「上陸している第一軍団の先陣部隊指揮官に戦況を伝えて、我らが一時的に空ける、右翼に兵力を入れてくれと要請しろ。」
「第一中隊長、このまま我らは敵を押し上げる。」
「お前は第一中隊を引き連れて、さらに左翼へ回りこみ、囲むようにやってくる右翼の連中と合流しろ。」
隊長に続いて海兵隊は果敢に突撃を開始した。
海兵隊は自己の数倍もの兵力を、その勇猛さを頼りに包囲してしまった。
「ボウガン隊に爆裂弾をお見舞いしろと伝えよ。」
アムリア帝国軍は崩壊、降伏など一切聞く耳をもたない海兵隊は、一兵残らず皆殺しにします。
「隊長、敵は一人として生きている者はおりません、我らの完勝です。」
全身、敵の血に真っ赤に染まった海兵隊長は、地獄の魔人と呼ぶのがふさわしい姿です。
「長いは無用、元の戦線の位置まで後退しろ。」
「第一軍団長より伝令です、貴隊の奮戦に敬意を表す。」
「我、無事に上陸、貴隊の当初の戦線位置まで進出、貴隊は後方に下がられ、英気を養われることを勧める。」
「そうさせていただくか。」
「全軍、後方へ下がる、しばし休養だ、諸君、良くやった。」
この結果、海兵隊という名前は大陸全土に鳴り響いたのです。
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