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第七十章 巡礼の道

場末の安酒場

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「ティアマト様、巡礼宿はこちらですが?」
「別の宿にしましょう、あの支配人、なにかやるかも知れませんからね」
「ペルペトゥアさん、こんなときに、安全な宿ってどこがいいものですか」

「どこも危ないですね……野宿の方がいいかも知れません……」
「いまさら、夜の荒野には出られないでしょう……」

「では、酒場で一夜を明かすのはいかがですか?」
「出来るだけ場末の安酒場がいいでしょう」
「乱闘騒ぎもありますが、店のものに心づけを渡せばよい話、明け方まで飲めますよ」
「ただし、寝たら枕泥棒がでますから、注意が必要ですけどね」

 ライラさんが、「そんな危険な場所に行くのは反対です!」といいますが、
「いいじゃないの、お酒飲めるのでしょう、料理はおいしいの?」

「繁盛している店を探すのが、肝要かと思います」
「それにしましょう、さてペルペトゥアさん、あなたの感を信じますから、店を選んでくださいな」

 三人はアヨーディヤーの町を行ったりきたり、で、ペルペトゥアさんの、お勧めのお店に入ります。

「酒だ、酒!うまいものを持ってきてくれ!」
「それから座敷を貸してくれ!朝まで飲み明かすから、よろしく頼む!」
 ペルペトゥアさん、生き生きとしています。

「まったく……ご迷惑をかけますね、これ、座敷のお代にしてね」
 なんと青銅貨一枚を渡しています。

「メニューはこれなの?」
「そうね、お料理はメニューに載っているものすべてね、お酒は一種類、樽でも売っているの?」

「じゃあ、一樽くださいな、この方、飲みそうですからね、今日は良い日なの、お祝いよ!」
 警戒しきっているライラさんなのに、二人は酒盛りなど始めます。

「ライラさん、そんなに警戒しなくても大丈夫、私が守ってあげますよ」
 
「……」

「料理が来たわよ♪まぁペルペトゥアさん、一杯いきなさいな♪」
「そうですか♪じゃあ遠慮なく♪」

 料理は炒め物が多いようで、卵やソーセージ、根菜類、酢漬け野菜……
 二人とも口にあったのか、どんどんと食べています。

 お酒はどうやら醸造酒、軽いビールのようなお酒、どんどんと飲んでいます。

 この酒場、結構な繁盛店、日が過ぎたのに、活気があります。
 料理がどんどんやってきます。

 おやおや、美子さんたちの座敷に、乱入してきた者たちが……
 店の店員を、殴りつけていました。

「ちょっとおごってくれないか、お姉さん方」
「嫌よ、私は汚い方は嫌いなの、シッシ!」
「喧嘩を売っているのか!」
「買ってあげているのよ」

 そのあと、簡単にかたずけた美子さん、ほかのお客さんから大喝采を受けています。
 皆さん、美子さんが叩きのめした者たちを、店の外に放り出しています。

「ありがとう!皆さん、これを飲んで!」
 お酒を二樽も購入、お店のど真ん中に、デンと置きました。

 おっっっ!
 歓声が上がり、そのあとは大変なドンチャン騒ぎ、明け方まで盛り上がっていました。

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