惑星エラム 幻のカタカムナ 第五部 神去り神在り編【ノーマル版】

ミスター愛妻

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第六十九章 仮の宿

神人(ゴッドメンシュ)

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「ティマト様、どうされましたか?」
 水汲みから戻ったライラさんが、心配そうな顔で声をかけてきました。

「ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたので、そろそろ寝ますか」
 
「ティマト様、お聞きしてもかまいませんか?」
「何を聞きたいの?」
「一度、クイント様に聞いてみたかったのですが、なぜ、この世界は争いがあるのでしょう?」

「人はもっと無垢な心ではないかと、思うのです」
「皆が無垢な心のままであれば、世界は違う形であったのではないでしょうか……」
 
「そうね、誰もが考える問題よね」
「人々が無垢な心で日々を過ごせば、いつかは貴女が望む世界が実現するでしょうね」

「ティマト様もライラも、心が優しいのですよ」
「たとえ無垢な心で人が生きていたとしても、必ず矛盾がでてくるものでは、ないのですか?」
 ペルペトゥアさんの言葉です。

 ……矛盾……人が存在すれば、必ず後が残る。
 たとえ魂が無垢として、別の高次の世界に移行できたとしても、何かしら残る。
 誰がそれを片付けるのか……片付けるには、自らと同じぐらいの存在でなければ、ならないのでは……

 ……そうよ、薄々思っていたことだけど、禅譲よ……
 神は幾多の失敗の後、自らの後継者を望まれた……

 そして来るべき世界を、先の世界より良きものとするために、お心を尽くされた。
 来るべき世界を、私は歓喜をエネルギーとすべきとした。

 大神様は、時の輪から解脱するために神(かみ)さられ、幾つもの時の輪の中から、私が選んだものが、御心にかなったのだろう。

 だからおつくりになった世界の、エネルギー源ともなった、利己特性の対処を私に任された。
 これが最後の神の試練、終わりの終わり、アスラの世界を塗り替えるのよ!

 人が生きれば、何らかの後が残るのよ。
 そしてその後始末は後継者に託すしかない。
 先輩としては精一杯のことをし、後輩はそれを受け継ぎ、自らの理想を作り上げるもの。

 私はアスラの最後のヴァルナ評議会議長、ヴァルナの娘……
 そして来る世界の神人(ゴッドメンシュ)……神(ゴッド)になるにはまだまだよね……

「ペルペトゥアさん、ライラさん、ありがとう」
「二人の言葉ですっきりしたわ」
「私は関りを持った世界を抱く、私のやり方で、守り育てさせていただくのよ」
 
 ……私は私の大事な方々、愛した女たちの住む世界を守り育て、皆で心静かに日々を送るのよ。
 利己特性という毒薬の代わりに、喜びという歓喜のエネルギーをスパイスとして、世界を染めればいいのよ。
 それは私の望みでもある……

「さて食事が遅くなりましたね、今夜はおいしいものを食べましょう」

「ティマト様、出来ましたら、私がお食事を作りたいと思います、材料などお出し願えませんか?」
「私はティマト様の夜の奴隷、身の回りをお世話いたしたいのです」

「そうですか……では、お願いしますか……」
「何がいるか想像してみてください、それを出して差し上げます」
 
 ライラさん、小さいフライパンと、幾つかの野菜、根菜類を念じています。
 あと、ひき肉ですね。
 ミートボールと野菜の、煮込み料理みたいです。

 小さいフライパンで、穀物の粉を水と少量の塩で練ったものを薄く焼いています。
 多分テラでいうところのチャパティ、アフガニスタンあたりのパン?に似ているように思えます。

 ここで、このような手料理をいただけるなんて……

「ライラは料理が上手いのだな!私はソーセージを焼くしか出来ない」
 ペルペトゥアさん、凄く感心しています。

「ティアマト様、ライラはきっと一流の料理人ですよ」
「農場では、このような料理はおめにかかれない」
「クワドロあたりの晩餐に、出てくるのではないか?」

「とにかく温かいうちに食べませんか」

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