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第六十六章 アスラの末裔

住民

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 美子さん、自らを眺めるイメージを持ち、集中しますと、自分を眺めることが出来ました。

 別の自分が見え、そして見られている感覚……
 魂を二分したような感覚……

 ……なるほど、これは仮想制御戦闘能力を使って、同時に存在するときのような感覚、ブラフマーとの、時の断面を切り出された世界での戦いでの経験で、あまり違和感がないわ……

 美子さん、女性的なほうの心で感情的になり、男性的なほうの心で冷静になりました。

 ……さて、女ですからね、感情的になるのは得意?でもないか……
 そうね、高かったのに不味かった食事なんて……思い出せば……
 幽冥主宰大神、つまりは大自在天さんを身に取り込んだので出来る業だわね……

 ……おやおや、あちらはかなり怒ってきたようだ、小さく周りが振動しているようだ……
 さて、この振動エネルギーを利用して、少しばかり簡易魔法のようなことを、して見ましょうか……

 そこらに漂う原子などを掴んで……
 つかめるわ♪
 これを結合して、黄リン分子を作り出して……衝突すると……

 ぽっと火がでました。

 案外に簡単ね……でも怒ったから熱くなってきたけどね、寒さも当分大丈夫みたい。
 これを固定できるかしら……できたわ……

 こうなれば何でもありね……ナノマシンは……常駐はできないけど、連続で作り出せばいいみたい……やはり造れたわ……

 カタログはと……カタログシステムもできるわね……
 ついでに、この振動を全方位に拡大すれば……レーダーの変わりになりそうね……
 おや、何かが近づいてきますよ……ん、人の様ですね……

 そうだ、この振動、人の思念に同調できるかしら?
 近づいて来た方の知識から、この世界のことを少しばかりのぞけないかしら?

 できたようです……

 このカタカムナと呼ばれる世界は、全てはクインクと呼ばれる者の所有するものであり、その住民は奴隷である。

 第一階級はユニと呼ばれ農園奴隷、第二階級はバイと呼ばれ職人奴隷、第三階級がトリと呼ばれる軍人奴隷である。
 この上に、クワドロと呼ばれる、管理奴隷である第四階級がある。
 この世界は、全てはクインクに仕えるクワドロが決めている。

 クインクは其の姿もほとんど知られていない。
 他の階級の人間は、この地が極めて寒冷で光も乏しく、テラで言うところの『ノルマン』に似ている。
 大柄で金髪、色素が少ないのである。

 これ以上、覗くのは控えますか……覗きは罪ですからね。

 近づいてきたのは大柄の女だった。
 明らかに戦士、または軍人のようで、厚手の毛皮のような服を着て、バイキングの持つような剣を、腰に帯びていた。

 ……厚手の服を着ているけど、あれでは暑くないかしら?
 あの格好はイヌイットの服ににているわ……そんなに寒くなるの?

 この格好、不審に思われないかしら?

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