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第六章 忍の物語 カムチャッカ
ヴィーゼル空挺戦闘車改
しおりを挟む沖合には、ナーキッドがアメリカより購入して、アンカレッジから輸送した物資が、荷揚げされています。
弾薬などの軍需物資、食糧、医薬品なども……
ナーキッドの軍需部門の傭兵部隊は約五千名、これで一個旅団二個戦闘団を編制しています。
軽装軌式車両のヴィーゼル空挺戦闘車を装備、どうやらヴィーゼル1 Mk.20のようですが、ドイツ陸軍の中古品、ナーキッド協定批准の時、国際マーケットを通して、ナーキッドが購入したようです。
なんでもアイスランド防衛の名目だそうで、レイキャネース・ハウスに備蓄されていたものです。
この空挺戦闘車は大改修されており、衛星軌道に展開する太陽光発電衛星から電力を受電、燃料が要らないのです。
しかも装甲板が追加されています、新開発の強化プラスチックで、鉄よりも数倍固いと聞かされています。
何でも将来の建設資材として開発されたとか……
20mm機関砲を主砲とするタイプがほとんどですが、この20mm機関砲は大昔の日本帝国陸軍の九七式自動砲、口径20ミリ、初速750m秒の対戦車ライフルを大改良したもので、将来のナーキッドの機動兵団用の個人兵器として、開発中のものを機関砲タイプに転用したものです。
レールガンなのでほとんど反動はなく、その上初速は8000m秒、当然のごとく有効射程は二万メートル以上となります、全自動制御で、どんな強風などの外的要素があっても命中する優れもの……
ただ開発中の新型粘着榴弾は間に合わなかったようです。
本来、ナーキッドの正規軍は、BMと呼ばれニューヨーク近郊に展開している部隊といわれています。
これはテラの一部、ナーキッド協定国のごくごく一部の高官だけが知る部隊で、表ざたになれば全世界がパニックになりかねません。
なんせBMとは、ヴァンパイア種族の事なのですから……
ナーキッドの傭兵部隊司令と、ロシア帝国の北東軍集団司令官の作戦会議に、高倉隊長とともに忍が参加しました。
他のサクラ・ハウスの面々は、戦闘ロボット兵団指揮の訓練をすることになっています。
陸戦ロボット部隊は、一個分隊七体よりなり、五個分隊で一個小隊、三十五体の編成です。
これははっきりいって、今のテラの軍事力相手なら、一個小隊で簡単に制圧できると、いわれています。
ナーキッドの幹部会議において、この極秘兵器の派遣には反対が多かったのです。
なにせこの兵器は、ナーキッドも知らない、オーナー直属の兵器。
ナーキッドとは名ばかりで、ナーキッドの命令系統には属していないのです。
これを使用するオーナーの女たち、とくに『ミリタリー』と呼ばれる女たちの戦闘力については、ロシアでのヴァルキュリヤ・ハウスの、とんでもない実力を目のあたりにしている幹部会議としては、今の時点で公にはしたくないのです。
したがってこの陸戦ロボット部隊は、ベイ級ドック型補助揚陸艦ラーグスベイに乗っかったままです。
夜間に乗じて、パラポリスキー地峡に進駐することになっています。
いま、ペトロパブロフスク・カムチャツキーには、世界中の報道機関が集まっています。
しかも各地の軍の武官も集まっています。
全員ナーキッドの戦力を、偵察したいようなのです。
「だからBMは出せないし、美子さまご自身も、ご出馬を遠慮していただいたの……だけど陸戦ロボット部隊は、美子さまのたってのご意見なのでね……ある意味、私たちはナーキッドとは関係ないし……」
会議に向かう中、野戦迷彩服を着こんだ高倉雪乃は、上杉忍に説明してくれました。
一応、ナーキッドの軍事階級も帝国陸軍を踏襲、忍はナーキッドミリタリー中尉の、階級章をつけています。
「陸戦ロボット部隊は五個分隊、どう割り振りするのですか?」
「貴女と、田中芳恵大尉は私の副官として本部分隊、残りの五人に分隊を指揮させる」
高倉隊長は忍に次の紙をくれました。
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