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第六章 忍の物語 カムチャッカ

ミルクにはカルーアを

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 このころになるとサクラ・ハウスのメンバーにも、ヴィクトリア朝末期の女性用軍服、つまりはナーキッドの軍服が支給されています。
 一応、礼服代わりのようです。

 ヴィーナスの惑星記号と、ヴィーナスの象徴といわれる、赤いバラを組み合わせた紋章が、徽章としてつけられています。
 青木紅葉さん、良く似合っています。

 背が高く、かなりスラリとしたスタイル、ただ相当に引き締まった体で、男装したら間違いなしに宝塚……
 女学生の憧れの的になりそうです。

 チョーカーを不可視にしていますので、私服ならナンパのあらしでしょうが、女性用軍服ですからね……危険な女と皆思うのでしょうね。
 ナンパなど、一つも起こりませんね。

 S&W M686Plusディスティングイッシュド・コンバットマグナム・プラス などという、とんでもない銃が、腰にぶら下がっていますからね。

 357マグナム弾ですよ!しかも七発……
 通称マグナム・プラスと呼ばれるこの銃、チョーカーの魔力ゆえに、扱える代物です。

「シベリア……美味しいでしょうかね……」
「甘くはないでしょうね……」

「もう一つ、いただきましょうか……ミルクにはカルーアを入れてね」
 忍はホット・カルーア・ミルクで、シベリアを食べています。

「変な取り合わせですね……」
 と、青木紅葉さんが云いますが、彼女のミルクにはクレーム・ド・モカが入っています。

「変わらないじゃないの?モカ・ミルクでしょう」
「クレーム・ド・モカは、カルーアよりコーヒーの風味が強いのです!」
 どうやら紅葉さんは、かなりリキュールがお好きなようです。

「リキュール、お好きなの?」
「はい♪」
 この後、リキュールについて喋る喋る……
 紅葉さんのお言葉を、拝聴した忍でありました。

 怒涛のお酒の薀蓄を、二時間ばかり……午後の陽ざしも多少かげってきました。

「いけない!はしたない事を……申し訳ありません……」
「いえ、私もお酒は嫌いではないので、楽しく拝聴いたしました」
「すいません……」

「私、京都の出でしょう?でもお酒は、焼酎の方が好きなのよ」
「焼酎ですか?京都といえば伏見の清酒ですが……」
「少しはあるのですよ、案外においしい物があります、吟醸粕の焼酎とかね」

「おいしそう……」
「今度、一緒に飲みませんか?」
「上杉さんはお強いのですか?」
「人並みですよ……」

 そんな話で、束の間のティータイムは終わり、ハンヴィーM1152は二人を乗せて、東京ハウスにたどり着いたのでした。

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