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第二十八章 創世記

ナタナエルの石版

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 テンプル騎士団長さんが、
「ナーキッド?たしかにこのバレアレス共和国はナーキッド協定に調印して、その秘密協定にその様な項目がありますが……」

「ナーキッドこそが、私がこのテラで活動できる為の組織、私をこのテラにかかわりを持たせた元凶、そして今や、何とかテラを救うために孤軍奮闘している組織、私がそのオーナーです、このバレアレス共和国に来たのは、視察の為もあります」

「……」

 イエス会総長さんが、
「ユリウス五世聖下は、この事を知っておられると」
「ユリウス五世聖下には、直にお会いした時に、このテラの滅亡の事は話しをさせていただきました、人類滅亡の方は、シャルル枢機卿からお聞きになっているはずです」

「さきほど、もう行動を起こしているとおっしゃいましたが、何もしないとおっしゃった言葉と、矛盾していますが」

「何もしないとは、現在起こりつつある戦争行為などは放置するということです」
「しかし、救うための行動は起こさなければ、間に合わない、タイムスケジュールは待ったなしの状況です」

「少なくとも人類以外の、このテラの高等知性体は優先せねばなりません」
「今のところ一つの種族は、避難を完了しつつあります」

「ヴァンパイアですか?」
「良く知っていますね、ヴァンパイアとは、ある意味進化した人類と考えられます」

「そうでしょう?もともとホモサピエンスは、死肉を食糧としたので、飛躍的に数を拡大しました
「人の血は、高濃縮の高タンパク質、よりよき食糧を得ようとする者が発生しても、何らおかしくないでしょう

「人類は何を食糧としてきましたか、それを考えれば、ヴァンパイア一族を嫌悪するのは、おかしな話でしょう」

「しかしヴァンパイア一族は、私に忠誠を誓ってくれました、もう人に対してのチョッカイは無いと考えてください」
「彼らには簡易造血装置を与えた上に、一つの世界を与えました、今後、彼らは自らの力で生きて行くでしょう」

「では、人類を救う為の行動とは何なのでしょう、出来ればお聞かせ願えませんか?」

「……色々とまだ問題があるし……」
「火星のことではありませんか?」
 と、テンプル騎士団長さんが云います。

「……確かにそれですが……計画は動き出したばかり……火星の事はもしもの場合、最後の案、出来れば日の目を見ない方が良いと思っています」

「良くわかりました、真実を語っていただき、ありがたく思います」
「どのようにとられたかは解りませんが、ご質問には答えられる限りは、答えたつもりです」
「こちらからも一つお聞きしたい、この話しを聞いて、今後どうしますか?」

「変わりません」
 なるほど……

 テンプル騎士団長さんが、
「先行きの事に対して、近頃の現状に危惧を持っていましたが安心はしました」
「この話しはここまでとしましょう、この場の話しは絶対に漏らしません」
「シャルル枢機卿にもユリウス五世聖下にも話しません、騎士としての名誉をかけますので、ご安心ください」

 イエス会総長さんも、
「私も同様です、聖職者としての名誉にかけます」

 テンプル騎士団長さんが、
「所でナタナエルの石版というのをご存知ですか?このテンプル騎士団の所蔵する聖遺物のなかに、解読不能な石版があり、ナタナエルの石版といわれています」

「聖ナタナエルの墓碑ともいわれている、謎の石版ですが、今までの御話をうかがって、聖ナタナエルはお嬢さんの事を把握していた節があります」
「お嬢さんなら、もしやと読めるのでは思います、いまお持ちしましょう」

 そしてテンプル騎士団長さんは、一枚の石版をもって来てくれました。

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