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第十八章 休暇は楽し?

沙織の気持ちが大事

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 さて、お片づけをしましょうか。
 富田さんと華宮さんが手伝おうとしますが……
 ドンガラガッシャン……
 邪魔ですから、先にお風呂に入っていてくださいね。

 お風呂はココさんと一緒に入りました。
 すこし胸が膨らんでいるココさんでした。
 こうしてやっと一日が終わりました。

 寝る前にはしたない話しですが、長いトイレとなりました、食べ過ぎは間違いなしです。
 でも大量の草団子、どうしましょう……

 次の日は朝から、私はお仕事、朝食を準備しています。
 定番の卵焼き、出し巻き卵、厚焼き卵を大皿に盛り、お味噌汁、エビとはんぺんの蒸物、冷蔵庫にお父さん用の冷凍の枝豆がありましたので、枝豆ご飯を作って……

 朝食の準備が終わるころに、お母さんが起きてきました。
 このお母さん、どうやらお寝坊さんのようです。
「えっ!お嬢様が作ったのですか?」
「まぁ、悪くいうと居候ですので、働かねばと思いまして、出過ぎた事とは思いましたが」

「差し出がましいかも知れませんが、お嬢様はもっと気楽になされては?」
「主人から多少事情は聞いています、そんなに抱えては、苦しくはありませんか?」
「私の見る所、お嬢様はたしかに、見てくれは娘さんですが、出所進退、非の打ちどころがありません」

「お幾つかは知りませんが、見た目とは違うことぐらい私でもわかります」
「人の尺度に当てはまらない人を、初めて見ました」

「屈託なくお笑いの下に、苦しんでおられるようで……食事をする時には、お箸の上にはご飯をのせなければおいしくはないのは道理、お嬢様はお箸の上に、ご飯をのせていますか?」

 はっとしました。
 たしかに私は、お箸の上に悩みをのせています……

「お言葉、心に刻んでおきます、取りあえず食べてくれませんか?」

 ご飯をよそっていると、ココさんがおきてきました。
「ミコお姉さま、おはようございます」
「ご飯ですが、その前に顔を洗ってきましたか?」
「まだでーす、洗ってきます」

 沙織さんが、
「おはよう……!どうしたの、お母さん」
「お嬢様がお作りになってくれたの、貴女も見習ってください」
「無理でしょ、お母さんと一緒、朝食はトーストとコーヒー、富田家は庶民ですから」
「沙織!」

「これは凄い!」
 富田パパが驚いています。
「お父さんまで!」

 この家は笑いが絶えないのでしょうね……何とかして良かった……

 皆で朝食を楽しく食べて……
「お邪魔しました、楽しかったです、ありがとうございました」

「沙織をお願いします、鈴木氏よりお話しは伺っています……」
「どのように聞かれたかは知りませんが、沙織さんは大事なお友達なのです」
「お金に物をいわす訳にはいきません、心より幸せを願っているのです」

「では沙織の幸せが一番と、おっしゃるのですね」
「沙織、貴女の気持ちは?」

「吉川さまのお側にいたい!」
「……」

「そういうことですので、お願いします」
「……」

「贈り物をあげましょう」
「采女の指輪といいます、華宮さんが説明してくれるでしょう」

 私はご両親に、
「たしかにお預かりしましたが、本人を拘束するものではありません、すべては本人の気持ち次第です」
 采女の指輪が、富田沙織さんの指に輝いています。

 その後、華宮公爵邸で、明日からの小旅行の準備をしています。
 買い物三昧大変な騒動です。
 でもこの華宮公爵邸に泊まったことから、近衛師団に京都行きがばれたのです。
 その事がどのような事かは、明日、嫌になるほど知りました。

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